過去の歴史の振り返りと将来の有効な一展望
(2008-05-04)
アメリカ人である著者が、西欧文化、儒教・仏教文化、等を経験しながら、過去の歴史を多面的に概観した衝撃の書である。
一般大衆が時系列で、歴史を把握することを、「セックス」「年齢」「社会階層(カースト)」という3つの視点から論じているため、論理的には受け入れやすい。
特に、歓迎的な論述は(私にとって)国家興隆を「年齢」によって測っているところであった。
しかし、(著者独特の視点の裏返しで、)書き手が「西洋人」であるというところから、西欧優越主義が視点となっている嫌いも見いだせる。
今後、東洋人による世界観、未来予測が出されることを望む。
かなり衝撃を受けた未来予測モデルです
(2008-03-29)
本書は、2008年に読んだ本の中で、最も得たものが大きかった本。著者が独自に考案した「カーストモデル」「性モデル」「年齢モデル」という3つのモデルを用いて、数千年前からの人類の歴史を分析し、今後数十年の人類の未来を予測。その対象は、なんと、北米やヨーロッパだけでなく、アジア・中近東・アフリカを含め、世界全体の歴史と未来が対象。そして、非常に壮大なテーマを扱っているにもかかわらず、非常に分かりやすく、かつ、説得力があり、いちいちうなずける。
著者は、アメリカ人だが、東京に長く住んでいた。そんな著者だからこそ、仕上げることのできた本だと実感。
本書の言葉を借りると、今後、数十年で力を持つのは、「儒教圏(日本・韓国・中華圏)ブロック > 欧州ブロック >
北極圏(北米・ロシア・スカンジナビア諸国)ブロック」の順番。儒教圏が一番!
なぜ、そのような結論になるのか、本書を読むとうなずける。そして、その後、力を持つのは、なんとインド・イスラエル。
読み手を選ぶ本
(2008-03-01)
一見凄い理論のように思えるけど、実際にそういう風に社会が進化していくか、などちょっと説得力に弱い本。
螺旋状に人類の歴史が進化していくとするなら、また新たな戦士や労働者
の時代がやってくるのでしょうか?
ちょっと説明が「分かっている人」向けなので
普通の人が読んでも消化不良を起こします
かつてのヒッピー思想の生き残り(?)
(2008-02-16)
日本に長く在住する米人思想家が、現代社会の問題を、セックス・(社会の成熟度としての)年齢・社会階層(カースト)を三つの座標軸として俯瞰することにより未来を予測する、という本である。 日本の社会問題を考えるには面白い切り口とも言えるが、世界の行く末を予言するにはかなりムリがありそうな思想でもある。
筆者の思想の根底には、全世界の人間の価値観が同じ方向に収束する、という思いがあり、そのため(ちょうど現代日本のような)物質的に有り余るほど充足した社会が、精神的な価値重視に向かって進むのはある程度は必然と言えないことはないかもしれない。
一方で、世界の大半は、物質的な充足などとははるかに程遠い社会経済状態にある地域がほとんどであり、そのような地域で紛争が耐えないのは、貧困、圧政、暴力が日常化しているためである。 筆者の言によると宗教対立も近未来に解決される、という論理が展開されているが、聖書世界に端を発するイスラエルとパレスチナの対立が今だに解決されない状況の説明にはまったくつながらない。
週4時間の労働が当り前になり、人々は贅沢を嫌い、幸福な精神世界を至高の価値とする社会に向かって進む、というのは、筆者自信も言うとおり、イスラエルの「キブツ」を理想像としている。 これはかつてのヒッピーが目指したコミューンの思想ではないか?
だいたいが、理想郷の「キブツ」があるのはイスラエルの中でもほんの一部でしかなく、それをを運営する当のイスラエル人が、パレスチナの人々を如何に悲惨な状況においているかをこの目で見てきた私にとっては、筆者が予想する「精神的な理想郷」も「そこに住むエゴも嫉妬もない理想的な価値観の人々」など想像もできない。 また、将来世界において重要な位置を占める、とおっしゃる中東・西アフリカなどは、アブラだけでもっており、それが枯渇すれば見向きもされない不毛の地である、という冷徹な視点も欠かせないであろう。
世界は180度以上も異なる価値観の混在によって成立しており、各国・地域はそれぞれの成長・衰退のサイクルを複雑に繰り返しているのが実態であり、誰かの「理想」は、ある時には他人にとって「憎悪の的」になるのがこの世界である。 それは人類の歴史の中でまったく変化していない「原理」ではないだろうか。
最後に蛇足であるが、中国・韓国・日本を一括して「儒教的社会」としているくだりは、中国人を理解しているとは思えない。 日本の次は是非、中国に住み着いて本書の続編を書いていただきたいと願う次第である。
一度じゃ分かりません・・・
(2008-02-16)
セックス・年齢・社会階層と、人目を惹くに足る概念による整理は野心的ですが、
正直「ほんまかいな」という思いは拭いきれません。
(ところどころ納得させられる主張も多いことは事実ですが・・・)
「上質な推理小説」という内容紹介文を信じて読み始めると大変な目にあいます。
少なくとも、これほど難解で読みにくい推理小説を私は読んだことがありません。
まるで学生の頃に試験のために読まざるを得なかった経済史学でも読んでいるかのような錯覚に陥ることもしばしばでした。
一度読んで考え方を理解しようなんていう甘い認識で手に取る本ではないと思います。
読むならじっくり、何度でも読み返すべき本でしょう。
(私自身はあまりできなそうな気がしているので星2つにしていますが)