ユニバーサル ミュージック クラシック
実は変わった演奏 (2008-11-22) 日本のモーツアルト洗礼は、ドイツ系の指揮者のもので始まっている。なかでも、音質が良くなったレコードではベームとカラヤンが双璧だった。ウィーン風モーツアルトが「本場」だ、と。だが、例外を除けば、モーツアルトのオペラは、間違いなく「イタリアオペラ」だ。言葉も勿論イタリア語。それを、非常に器楽的な声楽処理を行うベームの演奏をなにか「スタンダード」と捉えていた時期があった。私もそうだったが、全くの誤解だった。モーツアルトのオペラブッファは、イタリアオペラの範疇で考えるべきで、ロッシーニはその後続だ、と。むしろスタンダードを想定するならジュリーニが指揮したり、タッディやブルスカンティーニやシエピが歌ったモーツアルトが本当のはずだ。この盤は、ドイツ系歌手で占められ、その整然とした演奏は美しく魅力的だが、今となっては、ポイントがなく退屈かもしれない。目玉は、エディト・マティスで、愛らしくもスタイリッシュな歌唱は理想的。ディースカウはやはり柄ではなく、プライは上手いが、いまとなっては、ありきたりな役作りな感じがする。ヤノヴィツツは役作りが平凡すぎ、マティスに少し声が似ていてよくない。トロヤノスは残念ながらヴァルツアのケルビーノの歌唱で過去のものとなった。