多国籍バンドで南アフリカの音楽を大胆に取り入れた傑作!
(2008-09-08)
世界中の様々な音楽を貪欲に自らの作品に取り込んできたポールだが、ここまでガップリ組んだ作品は初めてだね。ポールをしてその虜にしたのは“南アフリカ”の音楽。冒頭のアコーディオンの音色からして、ただ事ではない雰囲気が漂うアルバムは、ややセールス的に低迷していたポールに、起死回生のビッグヒットと、3度目のグラミーをもたらした傑作!あまりの反響に、アパルトヘイト真っ盛りの当時、様々な論争をも呼ぶことになったのだが、そんなウンチクは抜きにしても、20年を経た今もって瑞々しい。
それにしても、リンダ・ロンシュタットやロス・ロボスといった豪華ゲストも霞む、南アのコーラスグループ、レディスミス・ブラック・マンバーゾの力強い歌声はどうだ!サイモンのソングライティングの妙と、彼女達のコーラスがうまく融合した(5)や、ズール語で歌われるアカペラ(8)といった作品がやはり印象に残るね。
それ以外の曲も、いかにもサイモンらしい曲から、もろ南アフリカ風の曲も、S・ガッドをはじめとしたいつものメンバーにプラスして、南アのミュージシャンも大挙参加した、多国籍バンドによって統一感のあるアルバムに仕上がった。そう、異国情緒たっぷりで、初めて聞くはずなのに、どこか懐かしくそして新しい、見事なアルバムが完成した。もう★5つ以外はありえない。
南アフリカとアメリカの音楽を融合させた歴史的名盤
(2008-03-06)
これは、世界中で売れるのと同時に大論争を巻き起こした。「黒人音楽からの盗み」と非難する人たちもいた。しかし、それはロックンロール誕生時から言われていたことでもあり、またここでサイモンが取り組んだ南アフリカのムバカンガ自体が西洋の影響を大いに受けてもいる。「反アパルトヘイトのための南アフリカ封鎖を破った」とも非難されたが、南アフリカの黒人ミュージシャンたちがこれによって世界に知られるようになったという側面も無視できない。「歌詞に政治的メッセージが稀薄」とも言われたが、「ちょっとアフリカ音楽を聴いて出かけていって『僕は君たちの魂の歌を歌うんだ』なんておこがましい」とサイモンは語っている。
アルバムは、1曲目冒頭の刺激的で力強いアコーディオンとドラムから、何か特別なことが始まるという雰囲気に溢れている。タイトル曲は、エルヴィス・プレスリーの屋敷の名と文字通りの“Graceland”(「神の恩寵の地」)とをかけて、「僕たちは皆“Graceland”に受け入れられるんだ」と歌う。3、4曲目は明るく楽しげな曲。5曲目は南アフリカのコーラス・グループであるレディスミス・ブラック・マンバーゾの力強いコーラスとサイモンの歌とバックのミュージシャンたちとが高度に融合した佳曲。6曲目は一番のヒット曲。(後に小沢健二がパクッた。)7曲目ではリンダ・ロンシュタットと共演し、8曲目はサイモンとレディスミスのア・カペラ。ボーナス・トラックのデモ・ヴァージョンでは、レディスミスの音楽に魅了されたサイモンが彼らの特徴を真似して多重録音している様子が微笑ましい。9曲目はアフリカンでありつつ従来のサイモンらしくもある。10曲目と11曲目はアメリカ南部やメキシコの音楽に取り組みながらも違和感がない。
とにかく、ロックのみならず広義のポピュラー・ミュージックの歴史に残る名盤である。ぜひ変な先入観なしに聴いてもらいたい。
「ホームレス」のメロディーは神がかり的ではあるが
(2008-01-26)
S&G時代に彼(言わずもがなポール・サイモン)が僕たちに披露したのは、奇跡のようなメロディーによってなぞられた、儚く弱々しい心であった。
しかしソロになり、ことこの作品においては、そのスタイルはほぼ一掃されていると言っても良いだろう。
しかし、これでいいのだ。もともと音楽なんて言うのは、体を揺さぶるリズム(鼓動)そのものであったはずだから。
そう、かのアフリカの「トーキングドラム」のように。
メロディーにS&G時代の美しさは消えた。しかし、やはり彼(いわんやポール・サイモン)のポップセンスはずば抜けている。
アフリカ音楽独特の熱く乾いたリズム感をうまく利用し、至上のポップ・ナンバーに仕上げている。なんと大胆かつ器用な男だろうか。
これは必聴。マストバイ。
それから。
バックミュージシャンの演奏も、いい感じのヴァイヴが感じられる素晴らしいものである。
そこも聴きどころ。
音がよくなって、ハイ!
(2007-01-15)
DIGITAL FORMATによる2006年7月再発組の一枚だが、今回のFORMATは大正解であった。PAUL SIMONの最高作が最高の音質でよみがえった。 紙ジャケであるのも嬉しいが、紙ジャケにするならもっともっと凝って欲しかった。しかし、解説文がオリジナル版が出て以降のインタビュー等の情報を盛り込んだ現時点での最新版に書き換えてあるのも嬉しいなあ。値段は、2,500円と決して安くないが、SONYの紙ジャケが昔のライナーをそのまま使っているのと比べると、えらい違いだなあ。
聴き易いポップアルバムの史上最高傑作
(2006-09-24)
ボッブスの名作・傑作、名盤などと銘打たれたアルバムは数々あると思うが、このリマスターされた「グレイスランド」ほど聴き易さの点でいえば、すぐれた作品は無いと思う。
それはやはり、ポール・サイモン独特のノリの良いリズムがメロディーラインのベースにあるからか、決して一度聴いただけで耳に焼き付くような歌い安いメロディーばかりではないものが、全曲飽きずに最後まで聴き通してしまう魅力を持っている。
それはソロになってからのポール・サイモンのほとんど全てのアルバムについて言えると思うが、このアルバムは出色の出来だ。
ベスト盤などでも近い印象があるが、ベスト盤以上にそう感じるのは、アルバムとしてのまとまりが統一感を与えているからだろう。
グラミー賞受賞、一縷の疑いの余地もない、納得の歴史的名盤である。