ボサノヴァの定番「ゲッツ/ジルベルト」
(2007-07-16)
『ゲッツ/ジルベルト』は、ボサノヴァの代表するアルバムだと言われています。実際よく売れましたし、アストラッド・ジルベルトが「イパネマの娘(Garota de Ipanema)」を歌ったことによって、彼女が世に知られた初出アルバムとして現在でもよく聴かれています。
ヨーロッパで不人気だったスタン・ゲッツが、アントニオ・カルロス・ジョビンのサウンドとジョアン・ジルベルトの歌と出会ったことは幸運をもたらしました。
このセッションは異文化コミュニケーションの一つの姿だと思います。時折、ゲッツのジャズ・テイストが雄弁になりますが、ブローすることなく雰囲気を合わせています。
ジョアン・ジルベルトの力の抜けたヴォーカルがいいですね。軽快な「デサフィナード」では、ポルトガル語が本来もっているリズムをよく音楽に乗せています。この軽みの極致がボサノヴァの真髄と言えましょう。
「コルコヴァード」の1節目の英語で歌うアストラッドと、2節目を歌うジョアンの雰囲気は抜群でとても良い感じです。その後、この夫婦に訪れる離婚をこの時は誰も予感すらしなかったと思います。
「ソ・ダンソ・サンバ」も典型的なボサノヴァ・サウンドです。カルロス・ジョビンの曲をゲッツは好きに吹きまくっています。ジョアン・ジルベルトが歌いたい音楽とは少し違うでしょうが、ジャズとボサノヴァの融合という意味では成功した演奏だと思います。
念願の購入、でも音質が・・・
(2006-01-22)
高校時代(かれこれ30年前)レコード屋で流れていた曲に心惹かれて以来、買いそびれていたジョアン。(当時は金が無くて買えなかった)
ようやく購入したCDは、期待に違わぬ内容。う〜む、このつぶやくような歌声、心が癒される!・・・ただ、難を言えば、スタンゲッツのサックスの音がちょっと・・・。割れているというか、ジョアンの声量のレベルとアンマッチで、突然大音量!当時の録音技術から言うとこの水準なのか。あるいは、ミキサーが敢えてこうしたのか。音楽のプロではない小生には、分かりませんが。
不朽の名作
(2005-10-12)
スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトがアントニオ・カルロス・ジョビン
をフューチャーして、1963年にニューヨークで録音された作品。
3年に渡る欧州でのブランクによって散々酷評を受けたスタン・ゲッツ、
ボサノヴァリズムを作り上げたバイーア出身のジョアン・ジルベルト、
多くの作曲もリズムに恵まれなかったアントニオ・カルロス・ジョビン。
野合との指摘もあるが、3人の奇才によってこの傑作が生まれた。
そして、この背景には当時ヴァーヴだったクリード・テイラーが
プロデュースを担当していることも付け加えたい。結果、
多くの賛同を得てスタン・ゲッツは本作でグラミー賞を受賞し、
白人テナーとしてのゆるぎない地位を得た。
また、本作は純粋な音楽とは違った側面からも多くの注目を集めた。
ジョアン・ジルベルトとスタン・ゲッツの音楽性の違いからくる確執や、
本来、ギターとヴォイス程度の素朴な編成からくる音楽にサックスが
執拗に入り込んでくるこの作品は果たしてボサノヴァといえるのか?
等、様々な論議をかもし出した。しかし、その音楽性は極めて豊かで、
いわゆる純粋なボサノヴァの作品の追随をも許さないものがある。
それが顕著に出てくる場面は3者それぞれ特徴的で、
スタン・ゲッツのバッキングプレイと、ジョアン・ジルベルトの声とギター、
そして、アントニオ・カルロス・ジョビンのピアノである。
いずれも”ささやく”ような演奏に徹していて、決して前に出てこない。
しかし、ハマッタポイントに音を入れてくるので非常に目立つ。
静かな音にも明確な主張が見て取れるのだ。
ボサノヴァに限らず、ブラジル音楽を聴く上でこの作品を欠かす事は
出来ない。いや、この作品の与えた影響はジャズを始めとした多くの
国の音楽に色濃く現れており、音楽を聴く方全てが耳にすべき音では
ないかと思う。それだけ画期的なのだ。今聴いても実に新鮮である。
夏の夕暮れにピッタリ
(2005-09-14)
もう40年以上前の1963年の録音で、ボサノバとジャズを融合させ全世界で大ヒット。仕掛け人はのちにCTIレコードを創設するプロデューサーのクリード・テイラー。面子はスタン・ゲッツ、ホアン・ジルベルト、カルロス・ジョビンと豪華。あまりに有名になった一曲目「イパネマの娘」でジルベルトの美声と、妻のアストラッドのちょっとヘタで、ちょっと危なげなヴォーカルが話題を呼んだ。この「超名盤」何度聴いても古びず、飽きない。夏の夕暮れにピッタリ。殺伐とした日常を忘れてイパネマ海岸にひとっ飛び。(松本敏之)