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シューマン:子供の情景 お気に入りに追加
ホロヴィッツ(ウラディミール)
シューマン
出版社・発売元:

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

媒体: Music
ランキング: 5366
発売日: 2004-11-17
カスタマーレビュー

夢幻の森へと誘うホロヴィッツのシューマン  (2008-09-24)
 キラリと光るものがあるシューマンのピアノ曲のなかでも、殊に美しい輝きを放つ名曲「トロイメライ」。この曲のたゆたい、夢のかなたへと運ばれてゆくような風情を、ホロヴィッツほど情感豊かに表現できるピアニストもいないのではないか。と、そんな気にさせてくれる演奏がいいですね。ホロヴィッツの「トロイメライ」、絶品と言うしかありません。

 ショパンやリストを演奏する時のデモーニッシュな、力強い打鍵とはがらりと趣を異(こと)にするホロヴィッツの演奏。なでるようなタッチで、シューマンの曲をやわらかく織り上げてゆくのだなあ。そのやわらかなタッチと夢幻的な表情が、とりわけ見事に表現されていた演奏として、私は『クライスレリアーナ』を挙げます。要(かなめ)となる「第2曲」を筆頭に、生き生きとして、変化を付けたピアノの表現のチャーミングだったこと。目の前で、素敵な魔法を見せられたみたいな感じ。この曲で、こんなにわくわくと楽しませてくれるピアニストもいないでしょう。

 1962年〜1969年にかけて、ホロヴィッツ58歳〜64歳の録音。

音楽の魔術  (2008-05-20)
 わたしは最晩年のホロヴィッツを実際に見たことがある。東京での演奏会はチケットが高価だったことはよく覚えているが、まず、80歳を超えた人間があんなにピアノという楽器を優雅に弾きこなすことに驚いたし、あの日の演奏会は、おそらくゼルキンのリサイタルや神奈川県民ホールで聴いたテンシュテットのヴァーグナーと並んでわたしの音楽体験に大きな影響を与えている。
 こんど、このホロヴィッツのシューマンを聴いていて、シューマンの音楽、とりわけ、鍵盤音楽には、シューマンの精神世界の脆弱な姿や、柔らかい音楽にたたずむ闇の濃さが描かれた音楽があり、こうした音楽をリヒテルは見事にこなしているし、ハスキルはシューマンの音楽を弾くとそこにシューマンの脆弱さへの共感を音楽に醸しだしていた。で、ホロヴィッツはというと、これはわたしの想像だけれども、もし、シューマンがホロヴィッツのこの演奏を聴いたとすれば、狂喜しただろうし、なにより、この男はおれの音楽を完全に理解しただろう、そんなふうに思うのではないか。そうわたしに納得させるほどにこのシューマンは素晴らしい。ここには名人の圧倒的なフォルテがあり、悲しみと情愛が横溢したようなテンポがあり、とりわけ、「アラベスク」の夢幻な世界は今後ピアノの世界でこの極点に達する奏者がでてくるのかわからないほどに、感情が、シューマンの恐ろしいまでの静寂が溢れている。わたしはホロヴィッツが20世紀最良のピアニストであると考えるし、それに、彼の弾くショパンなどあまり好きでないものもあるが、こんなシューマンを聴くことができるのは耳福であるというほかにはないだろう。

ホロヴィッツの「子供の情景」  (2007-05-05)
 ホロヴィッツは20世紀を代表するピアニストである。レパートリーは広くバロックから現代物まで及ぶが、とりわけ得意としていたのはロマン派のピアノ曲である。ショパンやシューマン、リストなどの演奏ではその超人的技巧、魔術的な音色の変化、怒涛のオクターブ、爆発的なフォルテ、巨大なスケールなど、ホロヴィッツの個性を存分に発揮している。これらのホロヴィッツの特徴は一方で、「偉大なピアニストであるが、偉大な芸術家ではない。」というような評価をされたこともあったという。また、ホロヴィッツのベートーヴェンの演奏はそれほど良くないという評価もされていた。これらによってホロヴィッツは単なるヴィルトゥオーゾにしか過ぎないという誤った先入観にとらわれてしまっている事が多いのではないだろうか。しかし、ここに収められている「子供の情景」を聞いて欲しい。「子供の情景」は技巧的には比較的平易だが、芸術的に表現することは大変難しいといわれ、ピアニストの試金石ともいわれる作品である。ホロヴィッツはこの曲を持ち前の音色を存分に用いて、柔らかく、大変魅力的に表現している。特に「トロイメライ」はまさに夢見るような美しい演奏である。決して子供らしい演奏ではないが、大人がもう戻ることのできない子供時代を夢見るような愛らしさと幻想性が全体の雰囲気として満ちている。ブレンデルもホロヴィッツの「子供の情景」を絶賛していた。この演奏だけでもぜひ聴いて欲しい。特に現代の大人たちに。

聴きやすいシューマン  (2007-01-20)
シューマンの曲は難解なものが多いが、ホロヴィッツの解釈、演奏が素晴らしいせいか、とても聴きやすく感じました。技術ではない、訴えかけてくる何かがこのCDにはあります。シューマンの想い?

大人の世界  (2005-04-29)
シューマンは難しい。シューマンを愛するということは、自分のうちに様々な矛盾を抱えながらも、結局それが人間というものなのだと受け入れること。シューマンは大人向けの作曲家だと思います。

特にクライスレリアーナは、ただ激しいとか情感を込めるとかでは説得力を持たせられません。ともするとお互い全くの別人の様に見える8つの性格が、実はただ一人の人物に由来する事を把握した上で、聴き手にそれを納得させなければならないからです。それが出来ないと、ただの支離滅裂な小品集になってしまいます。

ホロヴィッツはシューマンの複雑な性格を完璧に理解し、身震いするほど深く静かに掘り下げて見せてくれます。ホロヴィッツのクライスレリアーナが素晴らしいのは、決して単に技術的にうまいからではありません。彼自身が非常にシューマン的な性格をもった人間で、シューマンに心底シンクロ(共感)しているのが実感できるからです。

最高のシューマンだと思います。

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曲目リスト
1.トッカータop.7
2.子供の情景op.15
3.クライスレリアーナop.16
4.アラベスク ハ長調op.18
5.花の曲変ニ長調op.19

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