さださん、あなたは優しすぎる。
(2005-06-01)
前作『おもひで泥棒』の発表時にFM音楽雑誌(すでに廃刊)のインタビューでは、
「僕、今怒ってるんですよ。ヤクザ映画の(高倉)健さんが家に隠したドスを引き出すように、今度ははっきりモノ言いますよ」とコメントし、色紙にも
「いつまでも やさしい俺だと 思うなよ」
と書かれたのを覚えている。
いじめによる自殺・阪神大震災・サリン事件・金の亡者だらけになり荒れ放題となったこの年(1995年)の日本の心象風景を綴ったタイトル曲。 営業マンの悲哀にユーモアを交えた「名刺」。 この年亡くなった彼の叔父へのレクイエム「銀杏散りやまず」。 終戦50周年でもあり、太平洋戦争中の特攻隊員が肉親へ書いた最後の手紙を朗読した「兵士の手紙ときよしこの夜」。
いま思えば、これらの歌が言いたかった事なのだろう。
ただ健さんを出すくらいだから、浜省の「東京」「RISING SUN」や(中島)みゆきさんの「吹雪」「4.2.3」、(吉田)拓郎の「アジアの片隅で」のような“怒りの大立ち回り”を期待していただけに、僕にとってはやや期待はずれだった。
それどころか、「さよならにっぽん」には『夢回帰線2』までのアグレッシブなイメージが消えうせ、オーケストラのソファにふんぞり返って“あきらめ”の境地をつぶやく初老のイメージさえ感じられた。
また前作から感じていたのだが、喉を酷使して声が細くなっているにもかかわらずキーを高めに無理して歌い続ける姿がつらく思えたり、大河ドラマなど“権威志向”が目につくようになった渡辺俊幸氏がメインプロデューサーになった為か、過剰な交響楽(シンフォニー)色の強いサウンドとなった状況に違和感が増し(風見鶏や私花集のバンド指向が好きだっただけに)、僕はこれ以降もさださんの歌こそ聞き続けてはいるが編曲・サウンド面では一定の距離を置いて冷めて聴いている。
さだまさしは10年早い!
(2005-01-13)
なんて別に怒っている訳ではありません。
2005年の現在起こっていることをすでにこの時点で予知していたとしか思えない。日本の叙情を曲作りの一つのテーマとしてきたさだまさしが、さよならにっぽんと言うことの意味は?
「兵士の手紙ときよしこの夜」が全てを物語っています。かつてサイモン&ガーファンクルのナンバーに「七時のニュースときよしこの夜」というのがありました。「Silent Night」が流れるなかで(クリスマスに)、ラジオがベトナム戦争の報道を淡々としていく・・・といった内容で、「聖夜にも戦争が続いている・・・」「戦争はあるけど僕らは平和だ・・・」と2種類の解釈が可能でしたが、さだのメッセージは明確です!60年前の狂った時代に戻ってはいけません。