安定感
(2008-04-12)
マル・ウォルドロン「Left Alone」での名演で有名なジャッキー・マクリーンのリーダー作であり名盤中の名盤。ジャッキー・マクリーンは突き抜けるようなカリスマ性はないためコルトレーンやロリンズのような“巨人”の域までは到達しなかったが、「猫の鳴き声」と評された泣き節サックスと安定感抜群のプレイは、脇役として起用された際に特に実力を発揮した。
この作品の素晴しい点は、サックス・ピアノ・ベース・ドラムのバランスの良さである。特にブルージーなウォルター・ビショップのピアノが素晴しく良い働きをしている。ちょっとウイントン・ケリーに似た雰囲気もあり、またバッキングに廻った際のタッチも絶妙だ。
この4人によるアンサンブルが抜群に安定しているため、突出した楽曲はないが落ち着いて聴く事が出来るのが最大の魅力。各人のプレイ(フレーズ)に難解さもなく、穏やかな素晴しい作品だと思う。
マクリーン節よ永遠に
(2006-04-02)
ジャッキー・マクリーンが亡くなった。73才。
あのマクリーン節が新たに音として刻まれることはもうない。
虎は死して皮を遺し、男は死して音を遺した。
故人の冥福を祈る。そしてありがとう。
胸いっぱいのジャズを。
(2006-02-09)
マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンがキャビア、フォアグラだとすれば、ジャッキー・マクリーンはラーメン、コロッケ、でしょうか。
というわけで、そんなマクリーンの「泣きメロ」をこれでもかと堪能できる、ワンホーンによるスタンダード集。
いやあ、お腹一杯っす。切々と情熱的に歌い上げるマクリーンは、本当に「歌」ですなあ。
タイトル通り、スインギーでノってます。
クセになったらやめられないマクリーン節を是非どうぞ。
豪快無比のアルトサックス
(2005-06-01)
ジャッキーマクリーンが昔からあまり好きでなかった。子供の頃からの蓄膿症で鼻づまりが悪かったので、彼のどこか音の詰まったアルトを聴くと呼吸が苦しくなる症候群によく陥った。だが本盤だけは例外だった。ケレンミなく吹きまくるマクリーンがいい。どことなく漂う心の中の雨雲を吹き飛ばしてくれる。何の迷いもなくただただ力一杯に吹きまくるだけのワンホーンアルバム。ぶっといベースのジミーギャリソン、ビバップフレイズをまき散らすピアノのウォルタービショップ、堅実なプレイのドラムスのアートテイラーのシンプルなバッキングもグッドだ。スタンダーズナンバーが曲の多くを占めているので聞きやすさもある。マクリーンの中では例外的に好きな一枚だ。
ジャッキー・マクリーンの歌が聞こえる
(2004-10-11)
ジャッキー・マクリーンをモダン・ジャズ・シーンのなかで正当に評価した場合どのようなポジションを得るのであろうか。チャーリー・パーカーは別格としても、ソニー・スティット、キャノンボール・アダレー、アート・ペッパー、リー・コニッツ、ポール・デスモンド、フィル・ウッズ、オーネット・コールマン、エリック・ドルフィーといった後にようやく出てくるのではないだろうか。確かに、ここにあげたアルト奏者と比較して、マクリーンは音程の安定感、リズム的なノリの問題、アドリブの創造性やテクニックといった面で、やや劣るかもしれない。また、これといった、ジャズのイノヴェーション性とも無縁なミュージシャンなのかも知れない。しかし、である!ジャズは理屈を超えたどうしようもない個性や嗜好によって成り立っている音楽である。マクリーンこそ、そんな客観的な優れた資質や条件を超えた、訛りのような、どうしようもない個性と彼ならではのタイム感覚(後乗りの)、さらに、不安定ながら泣きの入った忘れられないトーンとフレーズがあるのだ。立て板に水の巧言令色よりもたどたどしく,訥々とした語りに信頼と懐かしさを覚えるのだ。しかも、スタンダード集の本作品は、59年という微妙な時期ながら、洗練されたグループ・フィーリングでまとめられ、聴きやすくまとまったアルバムだといえよう。お勧めのCDである。