アコースティックで落ち着いた印象の力作
(2007-01-11)
というとなんだか矛盾しているようだが、サウンド的にはとても落ち着いているし、スローからミドルテンポの曲がほとんどということもあるだろう。
非常に質の高い演奏だし、もちろん彼女のアルトヴォイスのふくよかさと歌の巧さは文句なしだが、全体としては、いわゆるSSW色が強く、ややメリハリにかける印象が先行したのは否めない。
本作は、現実にあるいはメタファーとしての「旅すること」をモチーフにしている。アメリカ人のソングライターがしばしば取り上げるテーマだが、女性としての視点でそれをやって見せたのは新鮮だ。
歌詞カードが付いているので、それを見ながらゆっくりとイメージを補いつつ聞いていると深い感動に浸ることができた。私の英語力では完全に理解しきれていない部分や逆に勝手に美化している部分も多いだろうが、やはり彼女は現代アメリカにおける屈指のソングライターだと思う。
そうやってなじんでいくことで、むしろ以前のカントリー色の強いアルバムが平板に聞こえてくるほどに丁寧に作りこまれたアルバムであることがわかる、そんな作品である。気持ちとしては★4.5というところ。
ベテランの味わい。
(2004-07-21)
アメリカカントリーミュージック界の、もうベテラン、大物と言っていいであろう、
メアリー・チェイピン・カーペンターの新作。
グラミー賞の常連でもある彼女だが、
毎回まるで自分の母親に子守唄を唄ってもらっているような、
そんな暖かさや包容力のある歌声が、僕にとって最大の魅力。
「Only A Dream」や「Why Walk When You Can Fly」のような名曲も過去には燦然と輝いているが、
いまやベテランの落ち着きを持って、その音楽は深みを増している。
彼女のアルバムの中では珍しい、彼女のいないジャケット。
それでも、そこには彼女らしい清々しさを感じる。
ドライヴにも最適な彼女のアルバムで、
”本当に歌が上手いという事”はどういうことなのか、
”歌姫”という言葉が軽く使われてしまう今こそ、考え、感じたい。