胸を打つ抑制美
(2007-03-16)
ブルーノートレーベルと契約したキャノンボールの作品にマイルスが友情参加した作品ですが、結果としてジャス史屈指の名作を生むことになりました。代表的な例が巻頭曲の「枯れ葉」です。去り行く時の悲しみを感傷的にならず淡々と虚しさを漂わせた乾いたマイルスの表現力、「悲しさは疾走する」という小林秀雄氏の言葉を想起させる名演です。キャノンボールのアルトによるその音自体がブルーとしか言いようのない饒舌な演奏も艶やかで、アルトによる独唱5でも同じように聴かせてくれます。彼のプレイには勿体振った構えや暗さがなく、嘆きよりも裏のない天真爛漫さや純粋さが魅力。 ピアノが紡ぐ花開くような展開からテンポチェンジする2はマイルスのしかめっ面が見えるようなテーマ部といきなり雰囲気が変わるアルトサックスの陽気な演奏が対照的で面白い。
マイルスのペンによる表題曲は、テーマがキャッチーで掛け合いもこれまた格好いいが、キャノンボールに関してはお得意の引用フレーズで盛り上げる部分はあるものの、全体にはマイルスのオープンホーンの乾いた音とシリアスな展開を引き立てる控え目な演奏に徹しているようです。逆にブルージーな4ではキャノンボールの歌うようなプレイが全開で、マイルスなりに彼の世界への接近と共鳴を成していい味を出していると思う。track1と3が特にききものですが、吹き過ぎない抑制とバランスのとれた好盤です。オススメ。
枯葉はアレンジの秀逸さで素晴らしい
(2006-10-11)
「キャノンボールのサムシンエルス」と言っても通じないけど、「マイルスの枯葉」と言えば通じるという不思議な名盤。それだけ「枯葉」が優れているのでしょう。
枯葉の原曲はシャンソンなわけですが、その原曲のムードを残しながら、さらにブルージーなムードも付け加えた素晴らしいアレンジです。あまたある枯葉のアレンジを聴くと、まるで何かにせっつかされるようにテーマになだれ込む焦り気味の演奏が多い中、マイルスの枯葉は、十分ムードメイキングなイントロのあと、素晴らしい語り口で歌います。
で、主役のはずのキャノンボールは、マイルスの作ったムードを無視するかのような暢気なプレイで、その対比も面白いと思います。
名盤中の名盤
(2004-08-17)
傑作中の傑作、名盤中の名盤とはこのアルバムのことだ。キャノンボール・アダレイ(アルト・サックス)ハンク・ジョーンズ(ピアノ)サム・ジョーンズ(ベース)にアート・ブレイキー(ドラム)。加えてマイルス・デイビスと豪華キャスト。ブルーノートレーベルで最も売れた一枚だろう。キャノンボールというより、マイルスの一枚。だが、キャノンボールとブルーノートレコードのためにマイルスが一肌脱いで、キャノンボールのリーダー盤として作ったという逸話がある。表題曲「サムシン・エルス」や「ラブ・フォー・セール」もごきげんだが、やっぱり一曲目の「枯葉」。イントロのマイルスのトランペットを聴くと涙が出る。ジャズファンでなくとも必聴の一枚であり、ジャズ入門者から上級者まで、だれもが楽しめる。(松本敏之)
死んだら棺桶に。。
(2003-12-16)
これは死んだら棺桶に入れてもらう予定の一枚。
それは、「枯葉」があるからだけではなく、タイトル曲の
「サムシン・エルス」とそれに続くブルースの
「ワン・フォー・ダディ・オー」があるからです。
「ワン・フォー・ダディ・オー」のマイルスの
ソロにはイカされてしましました。
(このソロの時、マイルスは一体何を考えながら吹いたんだろう?
と深く考えてしまいます。)
タイトル曲の「サムシン・エルス」はJAZZに一気に
浸りたくなったときに欠かさず聴いています。
大音量で聴くとペットとベースが炸裂して最高。
もし出来るなら、録音現場に立ち会ってみたい一枚。
大人
(2003-06-19)
有名な話ですが、これは実質上マイルス・デイヴィス(・グループ)のアルバムですね。契約上の関係で、キャノンボールのリーダー名義になっているのです。
でもキャノンボールのワンホーン・トラックもあったりします。⑤ですが、ではこれが自分のバンドでのような自由奔放なプレイをキャノンボールは聴かせてくれるかというと、さにあらず。まるでマイルスが横で無言の睨みをきかせているような、ぐっと抑えた、尚且つ緊張感漲るスリリングな名演になっていると思います。
こういう、渋いキャノンボールも、僕にはとても魅力的。充分にファンキーだと思いますし。