おいおい勘弁な
(2008-10-15)
1972年リリースの本作がイエスの打ち建てた金字塔である事は間違いないが、あまりに絶賛
一色だと精神衛生上気持ち悪いのであえて云うが、、
確かに「危機」、「同志」、「シベリアン・カトゥール」とどれをとってもこれ以上ない
緊張感で心はフルに振幅しぱなっしだが、あまりに語り尽くされてる前提を抜けばこの作品
には旧来のイエスにない難点が多々あるし、その後の一皮剥ける兆候はまだない。
コンセプトという意味では「リレイヤー」の方が数段上だし(私的イエス最高傑作)。
メンバー各々の個性、そして絶妙な調和を感じたいなら「こわれもの」の方が優れている。
この作品は本当に良くも悪くもリック・ウェイクマンにレイプされたイエスって感が否めない
と思う。前作、前々作にあったハウの浮世離れしたスタイルも影を潜め、大作にこだわるが
故にアンダーソンの個性も消滅し(彼はこの作品で変に哲学的なレッテルを貼られることにな
るが、実際はもっと余計な物を削ぎ落とした、それこそacoustic guitar一本で表現できるような本質的な音楽観の持ち主で、取って付けたような本作の詩は何の魅力も感じない、、)、
何よりリック・ウェイクマンの加入により居場所が消えたのがブラッフォードであって、彼の
プレイスタイルは「余裕」、「間」というものを持たないウェイクマンとは最も噛み合わない
部分がある。(いわゆる同属嫌悪的な)
巨大すぎる前提を取っ払って真摯に聴けば、みえてくるものがあまりに多すぎて、、絶賛一色
の解釈にはおいおい勘弁なと思う次第だ。今となって思えばこの黄金期といわれる
ラインナップでこの作品に満足感を感じてるのはウェイクマンとすっごいベース聴かせてる
クリス・スクワイアだけじゃないかと思ったりもする。ただこう云々してると僕がリック・ウ
ェイクマンが嫌いなだけじゃないかと誤解されそうだが、僕は彼のソロ作品は全て持っていて
その上で考察するとやはり彼の「スター性」はバンドの一員なんてポジションじゃうまく機能
しないと感じる。
だが彼がいなきゃこの作品は絶対に出来なかった、もっというならブラッフォードもいなきゃ
できなかった。だからといって次作の「海洋地形学の物語」の様などうしようもなく形容でき
ない世界観でもない本作は、まさにこれ以下でも、これ以上でもない一瞬だけの輝きだったん
だろう。だからこそこの【危機】は比類ないスリリングさを持つことになったのだと思う。
と、不満をツラツラ連ねる事になったが、まだイエスを聴いたことがない人にとってはどうで
もいいことで、未聴の人で興味を持った方はすぐさま聴かれたしだな。きっとあなたの知らな
い「悦び」がある事だけは絶対に間違いない。すごいぞ。
親しみやすさと高尚さと・・・
(2008-03-11)
1曲目の特に最初のメロディラインと、邦訳「危機」という単語の意味との整合性に疑問をもたれる方もいらっしゃるのではないだろうか。
また「I get up,I get down」の意はいったい?
タイトル曲「Close to the Edge」は、ヘルマン・ヘッセ1922年作品「シッダールタ(釈迦)」をモチーフとした作品であり、さまざまな困難・俗世を経て、川の流れの音を聞き悟りの境地に至るという物語である。
アンダーソンが作品のどの箇所を引用したかは不明であるが、次のように解釈すると理解しやすい。
最初はシッダールタの放浪の旅のはじまりである〜そして悩み・問題との直面〜自問自答〜無我の境地(解脱への道)、そしてそのさまざまな場面において「Close to the edge,down by the river」つまり川べりでシッダールタは考え、もがき苦しんでいたのではないか、と。
(シンコーミュージック「Yes File」より一部引用)
歌詞は難解で、アンダーソン以外のメンバーすら理解困難ということであるが、歌詞のテーマはアンダーソンの解釈曰く「自己理解の瀬戸際」とのこと。つまり「解脱直前の状態」あるいは「自分を見つけること」ということであろうか。
無論答えはアンダーソンの頭脳の中にしか無く断言はできない・・・
いずれにせよ作品の背景を推測または理解しながら聴くと、とてつもない「深み」を感じる作品である。
レコーディング時「つぎはぎ」で編集された各パートのメロディが、考えられないまとまりをみせる。
この部分は「この音このリズム以外は考えられない」それぐらい奇跡の調和を持って最後まで一気に聴けてしまう。
しかしながら、YESというグループの良さはそんな「小難しい」ことを抜きにしても楽しめる、親しみやすいメロディーの組み合わせでもあったりする。
クリムゾンやフロイドは「重すぎて・・・」という人でも是非聴いてもらいたい傑作である。
イエスらしい作品ですね?Yes
(2007-12-17)
プログレを過去のシーンとして振り返った時
言うまでもなくイエスはピンクフロイド、キングクリムゾン、EL&Pとともに時代を築き上げたグループである
この作品はその最高傑作と呼べるものであり、時代を代表する作品のひとつでもある
曲構成、技術、メンバーの個性といった全てのバランスがピークといえるアルバム
その後のイエスを思うとき、ビル・ブラフォードやリック・ウエックマンの存在がこれほどまでに貴重で、イエスとして聴くことが彼らをも輝かせていたことが再認識できる
テクニックならBブラフォードより巧いドラマーは他にもいるのだろうが、こんな音色でこんな叩き方を選択するドラマーは他に存在しない
Rウエックマンもソロになってからより、当時のほうがより実力を発揮し、グループの音楽性に相乗効果を生んで輝いている
Jアンダーソンの声質は日本で言うと「おやじの海」の村木幸吉さんみたいだが、彼のヴォーカルを引き立てているのは、この時のメンバー構成と音楽が一番だったと思う
Sハウのギター音もこの頃から頭角を現しており、その後のソロ・アルバムでギター成就している
アルバム・デザインや歌詞は流行りのプログレ的エッセンスを盛り込んでいるが
おそらく、彼らの音づくりはプログレ的(前衛芸術)という感覚ではなく、各自の個性で音を埋めていき結果としてこのような作品群に辿りつくのだと思われる
故にライブ・パフォーマンスの評価も高かったのではないだろうか
1960年代後半〜70年代前半のプログレ黄金時代に
このような作品をリアルタイムで聴く事ができた幸せを
新たなソース、オーディオで再認識させてくれる作品である
リアルおやじ世代万歳!
やはりイエスはこのアルバムが最高
(2007-11-18)
私はイエスの音楽は大半が好きですが(究極まで)、今聴きなおしてもやはりこのアルバムは彼らの最高の演奏であろうと思います。何といっても18分以上一瞬も聞き手を退屈させない曲の構成と演奏力、とりわけブラッフォードのドラミングは最高です。シベリアンカートゥルのドラミングはアランホワイトには絶対に出来ません!
危機の出だしのハウの奏でるリフも常識を打ち破るものでした。とにかくプログレファンならずともロックファンなら一度は聴くべきです。
リズムでカモフラージュされてるけど基本はアイリッシュフォーク
(2007-11-13)
こんなところでバラしちゃっていいのかどうかわかんないけど、オリジナルリリース時にコピーした経験から言うと、
とにかくアンサンブルが大変。ギターとヴォーカルが3拍子、ベースとバスドラが4拍子。1拍の長さが同じなので、12拍で帳尻があう勘定(ホントはもっと複雑)。ドラマーは頭が2つ必要。
キーボードのピコピコ音はベースのフレーズを二倍速にしたもの。しかも実際に指で弾いている。単に指先が速いだけでなく、頭の回転がよほど速くないと頭がついていかない。
複雑なリズムの合間に現れるアイリッシュなメロが美しい。いかにもジョン・アンダーソンらしい。アコースティックでカバーすると面白い。
BGM:映画『サンチャゴに雨が降る』はどこへ行った?