アシュケナージの戦略がオーケストラの新たな魅力を引き出す!
(2008-05-17)
1997年からチェコフィルの常任指揮者にアシュケナージが就任したのだが、これによって一つの明確な効果がこのオーケストラにもたらされた。レコーディング・レパートリーの多様化である。元来、「チェコ」という響きがよりローカルなためかレコーディングの戦略もドヴォルザーク、スメタナ、マーラー、ヤナーチェクといったチェコに縁の深い作曲家のものが多く、それを「やっぱり本場の音楽は理解が深い」みたいにコメントして(それを言ってる当人が日本人だったり・・・笑)購買力に訴えるのである。
アシュケナージもチェコフィルとドヴォルザークやマーラーを録音したが、一方でR.シュトラウス、そしてこのラフマニノフ(!)という新しい側面をこのオーケストラから引き出すことに成功した。元来アシュケナージはレコーディングによるオーケストラの国際化に積極的で、これまで彼が関わってきたオーケストラ、例えばベルリン放送交響楽団であれば、CD化に際して名称を変更し、「放送」というオーケストラの機能を制約する印象をはずしたり、NHK交響楽団とデッカへショスタコーヴィチを録音して、それを自身の全集に組み入れたりという尽力をしてきたわけで、チェコフィルの場合は、このオーケストラのインターナショナル性を高める戦略的な録音を組み込んだのは「確かに」とうならされる。
「鐘」と「3つのロシアの歌」についてはコンセルトヘボウ管弦楽団とデッカへのレコーディングもあったが、今回の録音はよりダイナミクスの幅が広く、細部まで入念に仕上げている。「鐘」はラフマニノフ自身が最高傑作と呼んだ重要な作品で、エドガー・アラン・ポオのオノマトピーア(擬声音)的な詩を素材としている。古典性と力強いロマンティシズムが支配する。3楽章の土俗感あふれる迫力、そして4楽章の圧倒的なレイフェルクスの独唱は見事。カンタータ「春」は叙情的な美観に溢れていて、特に後半はラフマニノフの美学が横溢する名品。また末尾に収められた「6つの合唱曲」ではアシュケナージの瑞々しく耽美的なピアノ伴奏が、女声合唱に映えて、まるで北欧音楽のような清冽な印象を残す。
ロシアの匂い
(2002-10-31)
アシュケナージのラフマニノフには、ロシアの匂いが強く感じられる。「鐘」は、ラフマニノフ自身、傑作としたものであり、アシュケナージはこれにこだわりをもって挑む。合唱曲ではアシュケナージのピアノも楽しめる。
ところで、エクストンの録音は、至高のものであるといえよう。音にこだわりを持つ人ならば、必ず満足するであろう録音であり、レコード芸術などでの評価も抜群にいい。
ロシアの味
(2002-10-24)
アシュケナージのラフマニノフはロシアの味がする。ラフマニノフ自身、最高傑作と称していた「鐘」では、ロシア語の発音にこだわり、ロシア語を話す歌手を起用したという。
また、「6つの合唱曲」では、アシュケナージのピアノも堪能できる。
技術的に難しい曲とは思えないが、ロシアの匂いがぷんぷんする作品である。