ブラームスの出世作
(2008-08-17)
まず断っておくが私はこの曲に関して他の演奏と聞き比べたわけではない。素人の率直な感想して読んでいただきたい。
私はカラヤン指揮の本作を何度も繰り返し聞き、気に入っている。カラヤンは本作を何度も録音している由。吉田秀和氏も推薦している演奏である。
ブラームスは有名な曲しか知らない私であるが、本作はあえて言えば、交響曲第1番と同じような、終盤での劇的な高揚(特に第6曲)が特徴的であり、そこに言いようのないカタルシスを覚えられるのが快いのである。本作はブラームスの出世作でもある。第1交響曲完成は本作発表よりもかなり後になるが、若きブラームスの希望に満ちた心象が反映している点で類似した傾向にあると言えまいか。その点モーツァルトのレクイエムとは全く異なる。人生への肯定的な明るさと力強さが底流した作品であり、合唱の美しさが忘れられない作品だ。
ブラームスの寂寥的ロマンティシズムの本質を捉えた歴史的名演奏
(2005-12-24)
一般的には「オットー・クレンペラーのドイツ正統派の演奏に比べると安っぽい」「カルロ・マリア・ジュリーニの格調高い燃焼度に及ばない」「歯切れのいい古楽演奏に比べるとオペラチック過ぎる」とけなされることの多いカラヤンの演奏ですが、私に言わせれば「華麗でカラフルなオーケストラの力量を素晴らしく抑制しコントロールした、しみじみとした人生のペーソスをよく捉えた見事なブラームス演奏」です。
まず抑制からマッシヴな爆発に見事に応えるベルリン・フィルの実力が素晴らしい。
この世界最高のオーケストラと豪華なソリスト達を見事にコントロールしうるカラヤンの練達の指揮もさることながら、その根底には彼が有する豊饒な和声感覚、建築学的構造の洞察力があります(特に第1曲と第2曲を聴いてみてください)。
ホセ・ヴァン・ダム、アンエ・トモア・シントウ、ヴィーン楽友協会合唱団らの素晴らしい歌唱も見逃せません。
カラヤンとしても会心のドイツ・レクイエムの名演という以上にブラームスの寂寥的ロマンティシズムの本質を捉えた歴史的名演奏です。