モーツァルトそのもの
(2007-09-23)
モーツァルトの作品そのものが直接伝わって聴く者の内側に迫るかのような素晴らしい演奏です。精妙な美しさと共に音楽が本来持っている生々しさも伝わってきます。まさに生きた音楽ですね。また、モーツァルトがスコアに書き込んだ全ての音が絶妙なバランスを保ちつつ再現されています。スコアそのものが目の前にあるかのようで、K.504とK.543などは実際に見て触れた自筆譜の姿が甦ってきます。尚、K.550のg-moll交響曲はクラリネットを含まない第1稿に基づく演奏です。
金字塔的演奏
(2006-11-30)
カール・ベーム&ベルリンフィルによるモーツァルト交響曲全集は、まさにクラシック演奏史に燦然と輝く金字塔でしょう。ドイツ・オーストリア音楽の栄光の系譜に連なる巨匠であり、モーツァルトの権威カール・ベームと、当時世界最高のオーケストラであったベルリンフィルの組み合わせによるこの演奏は、モーツァルト演奏の永遠のスタンダードとして、現代でも全く色あせることはありません。
当時のベルリンフィルは、現在の都会的で抜ける様な音色ではなく、ザクセン風の渋い音色で、このオーケストラが北ドイツに位置することを思い出させます。録音に当たり、ベームはそこを一番気にしていたようですが、現代的な洗練されたモーツァルトの音に慣れている我々にはむしろ新鮮な印象です。
出来れば初期の作品を含む、全集での購入をお勧めします。
モーツアルト交響曲のメートル原器
(2006-05-17)
モーツァルト交響曲演奏としてはメートル原器に相当する演奏だと思います。ベームが月の光の下で汲み上げた井戸水のような清冽な味わいを聞かせてくれています。是非聞いてみてください。アーノンクールなんかの古楽器による演奏もベームを聞いてからのほうが、違った味わいを見出せるかも。。ベルリンフィルの重厚な音色も、後期交響曲においてはモーツァルトの演奏にマッチしてると思います。後期6大交響曲はスピード感の表現が生命線だと思っているのですが、どの曲も絶妙のテンポで楽譜の疾走する様が端正に表現されていると思います。ト短調交響曲のリズムの取り方が「遅過ぎる」と書いている人が多いようでしたが、私はそうは思いませんでした。面白い所では、ジャケットを見比べて40、41の第4楽章はバーンスタインの半分の時間であることに初めて気付きました。いずれにせよ、モーツアルト交響曲のメートル原器として決定番的な2枚組です。他の指揮、オケのモーツアルトについてこれを聞かずに語れないでしょう。お買い得だと思います。
モーツァルトはベームで
(2006-05-09)
ラジオで絶妙なテンポの40番を聴いて、なぜか懐かしくなり、購入した。六曲全て、素朴でもろい美しさに満ちている。音が一瞬一瞬止まって聞こえるにも関わらず、旋律となって積み重なっていき、大建築を築いてしまう。音がバラバラになってしまうのではないかとか、盛り上がらないのではないかとハラハラするが、決してそうはならない。それどころか、その緊張感がモーツァルトを真剣に聞かせてくれるのである。出された音が出された瞬間方向を失って留まろうとするモーツァルトの音楽の特徴を活かし、ロココ趣味の宮殿の中で聴いているような錯覚に陥らせてくれる。ハ長調のリンツ交響曲(1966年録音)、ロマン派の交響曲ではないかと疑うほど精妙なプラハ交響曲(1959年録音)は心に染み入る。
ベームは今や忘れ去られてしまった感さえあるが、ショルティ、カラヤン、レヴァインの爽快なアレグロで流してしまう演奏ではなくて、一音一音じっくり聞かせるベームのモーツァルトはあわただしい生活の中に、音楽に耳を澄ます癒しの時間とモーツァルトを聴く幸福を与えてくれる。
お勧め
(2005-10-27)
モーツァルトの交響曲にはいろいろな解釈があります。室内楽的な美しさを求めたもの。アーノンクールのように土臭いオリジナル楽器的な解釈のもの。ベームの演奏はフルオケのモーツァルト交響曲演奏としては頂点の演奏でしょう。割と速い演奏で、テンポの王様といわれたベームが奇を狙ったところなく安定して聞かせてくれています。ベルリンフィルとの演奏ですのでやはりそれなりに重厚な音色です。モーツァルトに何を求めるのかは人それぞれでしょうが、ひとつの完璧な演奏として是非聞いてみてください。