アンセルメという「偉大な個性」
(2006-11-25)
いにしえのファンにとっては、エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団の演奏といえば、特定のジャンルでは泣く子も黙るくらいの「権威」がありました。久しぶりに、そのサウンドに浸りたくて耳を傾けました。やはり只者ではない。録音は1957ー1964年にかけてばらつきがあり、その古さは否めませんがアンセルメの偉大な足跡をトレースするにはこれで良しとしましょう。
アンセルメのロシア音楽が「権威」なのは、彼がデュアギレフのロシアバレエ団の指揮者として徹底して研鑽を積んできたこととの関係が大きいと思います。また、どちらかと言えば濃密な、また時にエキゾチックという名の異端的なロシア音楽が、アンセンメのタクトにかかると近代的な、普遍的な作品に昇華されるような魔力があります。このカップリングでどの1曲をとっても、名演の最右翼のグループに入る均一性があり、またその根底には各作品へのアンセルメの慈しみがあると感じます。ギリシアの哲学者のような思索的な風貌からは一見想像できないくらい大胆に躍動するリズム感や生彩溢れるメロディの表出は、天賦の才のなせる技でしょう。
ステンカラージンだけでも聞く価値あり
(2006-03-27)
かつて30年以上前レコードでもっていた演奏が廉価なCDで出ていたのを見
つけ、購入。今の録音のレベルで言うとやはり古さは否めないが、でも弦
楽器の繊細な響きは、かつての名録音だったことを示す。おそらくレコー
ドで真空管のアンプを使って、オルトフォンのカートリッジを使って再生
すると、その味わいが再現するのだろう。でも「だったん人の踊り」な
ど、中間部の迫力など十分にある。
どれも、濃厚な情緒には欠けるかもしれないがつぼを押さえた、水準の高
いものだが、ここで取り上げたいのはグラズノフの交響詩「ステンカ・
ラージン」が入っていること。例のボルガの舟歌で始まる、この曲は佳品
である。特に急速な部分が終了した後静まり、静かな第2主題が歌われる
ところ、これはペルシャの姫君を示すそうだが、エキゾチックな名旋律で
ある。他にもスベトラーノフの優れた演奏があったはずだが、この作品は
もっと演奏されてもいい、と思う。
古いものも良い。
(2006-01-31)
録音が1954年〜1964年と古いので、音質はあまり良いとは言えないのですが、
澄んでなく少しこもったような感じの音が、重厚感のあるロシア音楽には逆に合っているように感じました。
たまに「ブチブチッ」というレコード針のノイズのような音が気になるような
気もしたのですが(特に音量の小さいところで)、
それでも全曲を通し演奏が渋く丁寧でなかなかの名演だと感じました。
特に「だったん人の踊り」はコーラスも美しく素晴らしかったです。