日本人にしか出来ないラヴェル?
(2008-02-07)
ラヴェル作品の出来が素晴らしい。「鏡」は聴いて決して損はしない。
「海原の小船」など、これほど立体的に音楽を構築した演奏が、他にあったろうか。まるで浮世絵のようだ。
「道化師の朝の歌」のリズム感は、なんとなく「酔っ払いの朝帰りの歌〜帰ったら母ちゃんの頭に角〜」という感じがしたが。
「なんじゃそら?」と思った方、是非お聴きあれ! 上手いぞ!!
流れるようなファンタジーに溢れるラヴェル
(2004-06-06)
日本のピアノ教育界の大御所、安川加壽子の演奏。1922年生まれというからミケランジェリやラローチャとほぼ同世代である。ここに聴かれる彼女の演奏には、フランス仕込みの技巧とセンスが十二分に発揮されている。録音状態は当時としては決して悪くない。
特にラヴェルの『鏡』がどれも出色の出来。活き活きとしたリズム感、常に流れるような軽やかな技巧、それにラヴェル作品になくてはならないファンタジーの飛翔とイメージ喚起力に溢れている。最も有名な「道化師の朝の歌」のテンポは相当速いがそれが全く力任せではなく、音色も多彩。
N響とのライブであるラヴェルの左手協は、相当の難曲であるだけにミスタッチも少なくないものの、十分に彼女なりのアイディアやスタイルが伝わってくる高水準の演奏内容(ただし、オケは明らかに良いとはいえない)。
おそらく腕力がないことを理由に彼女の技巧を弱いと考える向きもあったようだが、そうした評価は「ハスキルの技巧が弱い」と断ずる事と同様に、技術の見方に対する全くの誤解であろう。