バッハと戯れるアルゲリッチを堪能してください。
(2006-08-10)
プロコフィエフやシューマンなどと同様に、水を得たようなピアニズムが堪能できます。伸びやかなフレージング、自由自在の強弱表現、踊りだしたくなるような生き生きとしたリズムなど、アルゲリッチの特徴がよく生かされた解釈です。またフレーズの開始点が鋭い彼女の奏法は、バッハの曲においてはアインザッツの強調に最適です。フーガやカノンなど、旋律が追いかけあう曲は聴いているうちに混乱しやすいのですが、アルゲリッチの演奏だと「ここで旋律が入ったよ」「次はこっち!」「ほら今度はこっち!私についてきて!」と言わんばかりのスピード感とわかりやすさが両立しています。そのため、バッハの初心者でもスリリングな快感をもたらしてくれるでしょう。
ここに収録されたパルティータやイギリス組曲は短調の作品ということもあって、シリアスに重く演奏する人も多いのですが、アルゲリッチはそういうアプローチは取りません。自由奔放な彼女のピアニズムは批判もありますが、この録音を聴く限りではアルゲリッチのバッハの相性は良かったようです。せっかくピアノで弾くのですからこのくらい自由なアプローチをしてほしい。こんなに面白いバッハはそうそう聞けません。
とても気に入りました
(2006-06-26)
ショパンばかり聞いて居ましたが、このCDを聞いてからバッハもいいなと思うように成りました。
人によって評価が分かれている様ですが、ショパンが好きな人なら、きっとこのCDも気に入ると思います。
ピアノの音も悪くありません。
クール
(2006-03-18)
モダニズム、シャープな磁器のような手触り、とにかくクールでシトラス? 汗臭くないのがいいと思う。過剰なロマンティシズムに流れないし、スパイシーで刺激的。それにしてもエキサイティングなのに形式感のこのまとまりは、なんなのだろうと思う。
かなりリズムが伸び縮みする部分もあるのだけど、不思議。
またピアノニストM.Argerichサンのセンスでは、たぶん「正統」視する「バロック」嗜好とは、かなり違うのではないだろうか。
なんでもアメリカで「まるでジャズのようにスイングする」と言われたJ.S.バッハだそうで、確かに高速快速にドライブする爽快感を感じる。グレン・グールドもスイングするといわれるけど、M.Argerich サンほど劇的に感じないのもまた不思議。
丹念に集中して聴いてるといつのまにか、のまれてしまう。ただその音楽進行を追ってついて行けるかは、別の話だけど。
ピアニストの表現
(2005-10-22)
トッカータ目的で買いました。このトッカータは単純に予想のつくピアニストの表現という感じがしました。フーガの最初のドゥックスG-ES-C-D-ES-G-ES-Cの一回目に対して二回目はPで奏するなど、この曲の場合には気持ち悪いです。ダブルフーガに入った時のテンポ、静かにややゆったりめというのは彼女の表現なのでしょうが、演奏の中で後に発展性もないしこれもやや気持ち悪さを感じます。フーガ部は長いだけに後のほうは飽き飽きしてきます。同じ曲を7人ほど聴きましたが、このCDは好感の持てる部類には入りませんでした。ただし、彼女なりにこうすべきだという意志は伝わってきます。私は個人的見解でこのような結果になりましたが、この表現が好きな人も数多くいると思います。
なんか違う
(2005-09-21)
青柳いずみこ氏の本でアルゲリッチに興味をもったところ、たまたま見つけて買いました。ものすごく期待してたせいか、なんだか期待はずれでした。まず、ピアノの音が綺麗だと思えない。どこのピアノを使ってるんだろう。憑依したような演奏(個人的に解釈すれば、その瞬間瞬間の、ピアノという楽器と楽曲とのインタラクションによって創発されていくような緊張感をもった演奏)とは程遠い普通の演奏。これが「凄い」と言われるアルゲリッチなのかいな。バッハじゃだめなのか。自分が不感症なわけではないと思う。だって、ミケランジェリのシャコンヌ(バッハ-ブゾーニ)には身の毛のよだつほど感動したもの。