EMIミュージック・ジャパン
LITTLE WONDERS!!! (2003-12-12) このCDセットに目がいくファンの殆どは初期のBowieに興味のある人だろう。 実際、1、2枚目は70年代初期の瑞々しい彼の姿を聴くことができる。 特にdisc1ではDavy Jonesという名前で活動していた頃の小曲をライブで聴けるのが嬉しい。 だがコアなファンは、ブートに収録されたものも少なくなく、音質が飛躍的に向上したわけでも、オリジナルと大きくかけ離れたアレンジが為されたわけでもない、このセットの購入を躊躇してしまうかもしれない。 だがそれでも欲しくなるのがファン心理というもの。 私がまさしくそうだった。 しかしである。最初、その存在さえ忘れていた、2000年6月にBBCで録音された3枚目がかなりいいのである。 ご多分に洩れず、私も「BowieはHEROESまで派」だが、本作に触れて、遅ればせながら90年代以降のBowieを聴きだした。 以前評価の低かったDAVID LIVEやSTAGESと較べても、ライブ盤としてそれらを上回る出来だと思う。 オリジナル録音を凌ぐと思われる曲もある。 バンドとしての演奏力、そしてなによりBowieの歌と声が(奇跡的なほど)いいのである。 どんな天才にも才能が枯渇する時期がある。 私はかつてPrinceにも同じことを感じた。 だがBowieはただの天才ではない。 彼の大きな武器である「知性」が今尚錆びることはない。 最近のBowieは昔に増してアイロニカルだ。 その厭らしさはよくも悪くも「老獪」といっていいほどだ。 そして時には、はっきりもの申す。 God is an Americanと現況を嘲笑うI'm Afraid of Americans。 イギリスが生んだ天才の知性は未だ健在だ。