ひとつひとつが愛しくて。
(2006-11-06)
初めて読んだのは高校生のとき図書館で。あまりにも面白くて、
ページを捲る手が止まらなくて、ひとつひとつの愛しい短篇た
ちを読み終えるのがもったいなく感じたほどでした。
読み終わったとき、ひとつの長編小説を読んだあとのような満
足感を覚えました。そして、頭の中に甦ってくるのは美しい波
のような光景。
この短篇集は、まぎれもなく、「物語を感じる」ことのできる
一冊です。
文句なし。
(2005-01-26)
力強い作品だった。
よい短編というのは、もう少し読みたいと読者に思わすことができるものだが、この本に納められているほとんどがそんな話ばかりだった。
どれだけ上手い作家にしたって、ほぼ全ての作品でそんな風に思わせる短編集なんかかけやしない。
スティーブン・キングはストーリーテラーだし、ジョン・アーヴィングは長編巧者だ。
トルーマン・カポーティならいけたかもしれない。
ティム・オブライエンもいい線行っている。
だがその誰もが、処女作品として、そんなクオリティーの高いものを出版できていない。
エリザベス・ギルバートはそこがすごい。
実に稀有な短編集だ。
文句なし。
アメリカではエリザベス・義ルバートの三作目が既に出版されているようだ。
二作目は「スタン・マン」というタイトルの長編だ。
ぜひ早期翻訳・出版してほしい。
水の中の石のよう
(2004-06-13)
以前、短編集というのはなぜか苦手で読むことをさけていました。
ジュンパ・ラヒリで短編の魅力に気づいたのですが、この短編集もとても魅力のあるお話の数々です。
誰もが人生を「こんなもんさ」って思っている部分と、諦めるのは嫌だと自分なりに努力していると思うのですが、その努力が他人からみると的外れでこっけいですらあることがあると思うのです。この小説にはたくさんのそういう「普通が可笑しい人」が描かれています。
私が気に入ったのは「デニー・ブラウン(15歳)の知らなかったこと」というお話です。
自分では自分の欠点がわかっていて「あ、また言っちゃった」とくよくよ悩んでいたとしても、他人からは気にしているようには思われず、人知れず悩んでるってよくありますよね。
人は他の人を「こんな人だ」とわかっているつもりでいたり、自分のことをわかっているつもりだったりするのですが、本当にそうなのかな?なんて考えさせられる作品たちです。
ひとつひとつが私の心という水の底に静かに沈んでいて、静かにその存在を主張している・・・そんな印象が残りました。
気持ちのいい読後感
(2002-06-30)
ふわーっとした、あたたかい短編集。気持ちよく読んで、読んだあとも気持ちよかった。エリザベスって、いい作家だね。
ぼくは、いちばん最後の、いちばん短い話がすごく好きです。これは、ほんとに、ほのぼのといい話。短い話なので、ここで粗筋を紹介するわけにはいかないけど、ある女性に、この物語を語って聞かせたら、よろこんでくれました。そして話が終わった後、二人でニコニコ。
まさに短編らしい短編
(2001-07-08)
帯に「短編小説でなければ書けないことがある」とありますが、まさにその通りだと思います。いずれも掌編で、とりたてて大きな事件やトピックが起こるわけでもなく、ドラマ性は全くない、さっくりと読める作品ばかりですが、妙に力強い印象が残ります。登場人物へのまなざしは、べとつかず突き放さず、程よい温度感で貫かれていますし、無駄のない簡潔な描写とリアルなせりふが読後に心地良さを残します。なぜか、インパクトはないのに「もう一編読みたい」と思わせる作品ばかりです。