The China Study (2007-10-10)
中国の政治体制の研究かと思いきや、2005年に出版された栄養学と現代病の話である。産業革命と共に豊かになった人類は、文明化と近代化の証として野菜を基本とした食生活から、動物を食材とする食生活へと変化させて来た。しかし、この動物性栄養素を食することが現代病の原因であるという。この本を読んだ時、もし、最愛の人が癌で闘病しているとしたら、間違いなくベジタリアンになることを考えるだろう。これは宗教の本では無い。50年に渡る動物実験と臨床研究の成果から導き出した結論である。それは、野菜と魚を食材とした食事に人類は戻らなければならにという著者のメッセージには驚かされる。それは、日本の食文化の原点であるからだ。
著者、T. Colin Campbell 博士は、彼の生涯に渡る動物実験と、フィリピン、中国に於ける病気と栄養の研究を通して、あらゆる生活習慣病、癌、心臓病、アルツハイマー病、白血病に至まで、現代人の死亡原因となっている病気は動物性栄養素を摂取することと関係があると主張する。動物実験から、動物性栄養素を控えるだけで病気は抑制されるという。それに対し、植物性栄養素を日常の食事とする人は健康であり、生活習慣病や現代病を予防することが出来ると結論付けている。
キャンベル(T. Colin Campbell)は酪農を営む家庭に生まれる。父を心臓病で亡くしたキャンベルはジョージア大学で獣医学を学んだ。奨学金を得るためにコーネル大学で動物性栄養素を研究して修士を取得する。このとき、ネズミが日常食べる餌の量を減らすことでネズミの寿命を伸ばすことに成功した実験で有名になった Clive McCay 博士の研究室最後の学生となる。そして、コーネル大学で乳牛と羊を早く成長させるより良い方法を開発して博士号を取得する。その後、人間の身体が動物性蛋白質を作る能力を向上させる研究に励むことになる。
1970年代初頭、中国の周恩来首相が末期癌を患っていた。この良く理解されていなかった癌に関する情報を収集する調査が開始される。調査は中国全土に渡り、12種の癌に特定した死亡率の分布を中国地図の上に色分けした。この調査の結果は、特定の地域に特定の癌による死亡率が偏っていることを明確に表していた。これを契機に、中国の日常の食事、生活様式、病気を包括的に研究する、米中挙げての国家プロジェクト、中国研究(The China Study)が開始される。