顧客の視点に立った市場分析の決定版
(2005-09-14)
顧客の視点に立つという言葉を使用した経営書などは非常に多いが、市場におかれている顧客の状況により分類し、彼らへの訴求価値の追求のあり方を徹底的に理論武装し、実際の業界分析で実証とする本書の取り組みは、閉塞感のある日本市場を考える上で非常に役に立つ。
理論的な背景は著者の前2作により展開されているそうだが、初めて読む(私もそう)場合でも、理論的なエッセンスはよくまとまっているので、Glossaryを参照すると共に、実証例を読むことで十分意味がつかめる。当然深堀りしたいと思えば前2作もよむべきだと思うが、自分自身は十分であると感じた。
同じハーバードのクラーク教授が研究しているモジュール化の考え方がイノベーションの理論に結びついている点ははっとさせられた。
経営理論の革新者・・クリステンセンのイノベーション理論が実用化!
(2004-10-07)
通信業界、半導体業界、教育界、医療界・・グローバル戦略を検討している企業の経営者、企画責任者・・にとっては朗報だ。
クリステンセンのイノベーション理論が、それぞれの業界に応用され、どのような革新の機会があるか、支配的なプレイヤーが革新機会を取り込むことができそうなのか、それとも、新規参入者が無消費を消費に変えたり、支配的なプレイヤーの無意味なゴージャスさに辟易した顧客のニーズを満たす低廉・実質本位の革新で地図を塗り替えそうか。そのようなことが分析されているのである。
これまでクリステンセンのイノベーション理論になじみのなかった経営者や戦略立案者、あるいは、アナリストなどにも朗報だ。第三弾になるこの本では、一番最後に、クリステンセン理論を実地に応用するうえで最低限踏まえておくべきエッセンスがまとめられている。また、前二作のどこを深掘りすればよいかが示されているのである。キャッチアップに持って来いだ。
このような普及版とでも呼ぶべき実用本が出版され、これと並行してハーバード/ビジネス/スクール流のケース制作が進むことで、今後、このイノベーション理論、パラダイムが主流となるのだろう。事実今回の著作は、クリステンセンの薫陶を受けた人たちの実証研究が相当盛り込まれており、共著者となっているのである。
クリステンセンのイノベーション理論が実用化!したわけであり、これから標準になるだろう。この理論をマスターし、的確に応用することで、ベンチャー企業でも大企業でも根本的な経営判断の誤りを免れるであろう。
多くの未来予測のヒントがえられた
(2004-10-02)
今まで類のない市場予測の本。新しい視点の消費者と市場(業界)との関係分析に、多くのヒントが得られた。
おそらくこのボリュームの本は、日本へ紹介されるまでかなりの時間を要するとおもうので、経済予測や企業経営に関心のある方には、先取りのために無理をしてでも原文を読んでほしい。
特に感心したのは、消費者の分類として"Noncustomers"、"Undershot Customers"、"Overshot Customers"にシンプルに分類している点。そうしてこういう消費者がそれぞれタイプ別にどういう購買行動をとるのか、それが結果的に市場にどういう影響を与えるのか、ということをいくつかのセオリーを紹介しながら、理論的に説いている。
つまり、消費者を「まったく関心のない層」、「関心はあるのだが現在は不便利や不満などで不完全燃焼してしまっている層」、そして「飽き飽きしてしまっている層」に分けて事例とともに紹介している。どれも近年よく見られがちなケースだ。
そういう意味で、消費者に共感を覚えながらこの本は読み進められる。それゆえ、消費者にマッチする製品やサービスというものはかくあるべき、という理想像がはっきりとつかみやすい。
未来予測がテーマの書籍ではあるが、起業家にとってもいろんなヒントが得られるだろう。