そこにサッカー者のタマシイがある
(2008-06-29)
英国の作家ニック・ホーンビィの処女作である。
あとがきにもあるが、小説というよりもむしろスポーツエッセイであり、著者自身の個人史であり、社会批評でもある。
熱烈いや病的なアーセナルファンとしてフットボールと対峙してきた著者自身の タマシイの変遷が、中産階級層(著者が自己規定している)からみた英国大衆社会の断面がふんだんに書きこまれているワケだ。
ただ、本書の面白さ全てを堪能しようと思ったら、英国フットボールに対するそれなりの知識(たとえばホワイトハートレーンはどこのクラブのスタジアム?クライブ・アレンはどこのクラブのスター選手だった?→答えはいずれもトッテナム)があってなおかつ英国ポップカルチャーにも通じていなくてはならない。
ちょうどモンティパイソンのギャグを理解するのに同様のバックグランドが必要であるようにね。
だが、同時にそれらの知識が不充分であっても(充分な日本人が何人いるだろう?僕だってもちろんわかんない)、本書は充分に楽しめる。
ちょうどそれらのバックグランドが不充分であってもモンティパイソンが充分楽しめるようにね。
フットボールというものは、その国の大衆社会のありように即した形で独自に根付いていくものなんだな。本書を読んでいるとそのことが文字通り臓腑に落ちてくる。
サポーターはこうあるべきだとか、サッカー文化の理想像だとか、そんな能書きを垂れる前にまずは本書を読んだほうが良い。
そこにサッカー者のタマシイがあるから。
フットボール文化
(2007-02-07)
もちろん著者はイングランドのフットボールファンの中でも特殊な部類に入ると思う。しかし、この本が英国内で100万部を超えるベストセラーになったというのだから、やはり日本とのフットボール文化の違いを感じずにはいられない。とはいっても、アーセナル(ロンドンの強豪クラブ)への偏愛と共に綴るホーンビィの人生コラムといった内容なので、少しでもサッカーに興味のある人なら楽しく読めるのではなかろうか。
「ヒルズボロの悲劇」
(2006-08-31)
イギリスにプレミア・リーグが生まれる以前、1968年から1992年までのイギリスのサッカー事情を作者の贔屓チームであるアーセナルを中心に描いています。
この時期のイギリス・サッカーを知っている日本人は、そんなに多くないでしょう。ですから、読んでいても退屈するかも知れません。しかし、サッカーと共にある、或いは、サッカーにリンクしているような作者の生活というか、人生にはきっと興味を覚えるでしょう。
そもそもこれだけの長期に亘って、それぞれの試合を記憶していて、こうして本に纏めてしまうこと自体、驚異的なことだと思います。それほどの作者の熱狂ぶりを傍から楽しむのも一興でしょう。
私個人としては、「ヒルズボロの悲劇」に一番関心を持ちました。実は、この事件の時イギリスにいて、聞き取れない英語のニュースで聞きました。その観客席が崩壊し、多数の死傷者を出したこの事件は、当時のイギリスの状況を象徴するような事件でした。
この事件の起こった1989年というのは、大英帝国の面影がすっかり影を潜め、日本を初めとする外国資本の導入によって、経済を立て直そうとしていた時代でした。それだけに、この本に引用されている「エコノミスト」の記事が印象的でした。
それともう一つは、作者のフリーガンに対する意見で、熱狂的ファンとフリーガンは違うのだということを、熱を込めて語っています。
サッカー・ファンを自認する方には、是非読んで欲しい一冊だと思います。
すべてのファンはここにたどりつく?
(2005-05-04)
本家かつ元祖イングランドでの熱狂的な1ファンの自伝的日常。
そこには、僕ら日本のファンが「現在進行形」でそうなりつつある、究極の姿がある。
「No Life without Football」
この言葉に多少なりとも共感できるサッカーファンであるならば、ぜひとも読むべきである。
プレミアファンであれば。。。
(2004-01-11)
サッカーファン、しかもプレミアファンであれば間違いなく楽しめる作品です。作者のマニアっぷりには脱帽です!