運命に翻弄される少年オリヴァー
(2004-07-06)
姉に薦められて読んだ本です。
私にとっては初めてのディケンズでした。
産業革命以来、市民が豊かになり生活レベルが向上しました。しかしその裏で貧富の差が広がって、孤児や貧しい人々がないがしろにされ、残酷な仕打ちを受けているという、社会の暗部を描いたお話です。
そう書くと難しく聞こえますが、そんなに難しくはありません。
主人公オリヴァーが受ける仕打ちはとてもひどいものです。人間扱いされていません。
強い者に従い、弱い者は虐げる。ここでいう強い者とは「金持ち」のことです。そして弱い者は「貧乏人」のことです。
みんなが自分のことばかりを考えて少しでも豊かになりたい、人よりもいい暮らしをしたい、そういう欲望が噴出した時代のお話なのです。
オリヴァーは無力な子供です。運命に逆らうことも困難です。
すんでのところで窮地を脱するものの、さらにひどい運命が待ち受けていたり…と、読んでいてハラハラしっぱなしです。
皮肉を交えて語られるお話は、読者を引き込んでいきます。
ですから、ある程度気力や体力に余裕があるときに読んだ方がいいかもしれません。とまらなくなりますから…。
社会的弱者の扱いがいかにひどいものであるのか、虐げられた人々の苦しみや悲しみ、虐げる人々の醜さなどが実にわかりやすく語られているから、お子様にもお薦めです。
私が印象に残っているのは、あまりにもひどい仕打ちに耐えかねたオリヴァーが救貧院から逃げ出すときに、仲良くしていた病気の貧しい少年に祝福してもらうシーンです。
この病気の少年は自らの運命を受け入れて、その上で友人の幸福を祈ります。
本当に豊かであるということがどういうことなのか。非常に心を打つ場面です。
ぜひ、読んでみてください。