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中流家庭の崩壊を静かに見据えたレッドフォード監督の傑作 (2008-08-23) 正統派2枚目スターのロバート・レッドフォードの初監督作品は意外にも地味な家庭劇で、この作品で彼はアカデミー賞の監督賞を受賞している。 その後も「クイズ・ショウ」などの佳作を監督しているが、監督してのレッドフォードの最高傑作はこの作品だと思う。 話の内容は、長男をヨットの事故で亡くした家族3人の物語で、次男(ティモシーハットン)は長男の死に対する自責の念から逃れられず精神的のバランスを失いかけている。父親(ドナルド・サダーランド)は平凡なサラリーマンで、次男が気になるが接し方がわからず悩む。そして母親(メアリー・タイラー・ムーア)は溺愛していた長男の死から立ち直れず次男に冷たく当たってしまう一方で、社交的でもあり世間体を気にすることは忘れない。 この家族を演じる俳優達の演技が素晴らしい。アカデミー賞受賞のティモシー・ハットンはもちろんのこと、母親を演じるメアリー・タイラー・ムーアも一歩間違えれば観客に反感のみを抱かせてしまうような人物を見事に演じきり、終盤近くで次男に抱きしめられた後の戸惑いの後姿も見事であった。しかし最大の驚きはドナルド・サザーランドであろう。「マッシュ」「赤い影」「1900年」「カサノバ」とエキセントリックな役柄を演じてきた彼の抑えた演技が素晴らしかった。個人的には彼にこの作品でアカデミー賞を獲ってほしかった。 この作品に対する批評でよく取り上げられるのは冒頭の朝食の場面で、食欲がないと訴える次男、そしてその食べ物をサッと捨ててしまう母親と、その冷たさにとまどう父親。この有名なシーンにこの映画の登場人物である家族3人の関係が見事に表現されていた。回想で出てくる長男の事故死以外には大きな事件もなく、淡々とした描写で、物語は進行していく。寒々とした秋から入って、季節の移ろいを捉えた撮影も美しい。3人がそれぞれ相手を理解し、感情を正直にぶつけ合えるようになった瞬間に家庭が崩壊してしまう悲劇的なラストも印象的。