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少年合唱愛好者への福音。 (2008-09-12) すでに多くの映像作品を持つウィーン少年合唱団はともかく、 他の少年合唱団の映像がソフト化されるのは非常に嬉しい。 ボーイソプラノ。 ある一定の時期にだけ発することを許された天与の声。 写真に切り取られた一瞬の美がそうであるように、 記録されることで、やがて失われる少年たちの声もまた永遠にその姿を残す。 すでに失われたものが、この世にとどまり続けていることの不思議。 ボーイソプラノがわれわれを魅了してやまないのは、 それがまさしく“滅びの美学”を体現しているからだけではなく、 永遠の存在を証してくれるからではないか。 美しい歌唱の映像はもちろん、少年合唱団員特有の 変声期の苦悩を描いた短篇映画「微熱」も収録されるとのこと。 実に楽しみである。 一つ気がかりなのは、商品説明に散見される 「美しい少年」「美少年」といった言葉である。 歌声とともにその容姿の美を愛でる。 それも一つの楽しみ方だろうが、視覚的な美の追求が、 音楽を犠牲にし、ひいては少年たちの歌に対する 真摯な思いを冒涜するものとはならないかと心配である。 ともあれ、この商品がきっかけになって、 かつての偉大なトレブルたちの映像のソフト化を期待しているが、 それは贅沢な願いというものだろうか。 10/5追記 上に書いた私の危惧は無用のものだった。 これは、ヨーロッパにおける少年合唱の歴史を 手短に振り返るとともに、少年たちの日常の姿を追った 優れたドキュメンタリー作品である。 彼らの歌声が流れるシーンではナレーションを入れないなど、 音楽そのものも堪能できるよう配慮されている。 『微熱』もまた18分と小品ながら、優れたボーイソプラノの持ち主に とっての変声の痛みを、詩情豊かに描いている。 これは、まさしく少年合唱愛好者必携のアイテムである。