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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド お気に入りに追加

出版社・発売元:

ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント

媒体: DVD
ランキング: 198
発売日: 2008-08-20
レビュー (Amazon.co.jp)
6年ぶりの映画出演で、アカデミー賞主演男優賞をあっさりと受賞したことから察するとおり、ダニエル・デイ=ルイスのハイテンション演技に最後の最後まで引き込まれる力作。彼が演じるのは、役名も同じダニエルで、油田を掘り当てることに夢中になり、富と権力を得ながらも破滅的な人生を送ってしまう男だ。俳優ならば誰もが演じてみたいであろう強烈な役どころ。人間とは思えない残酷さ、卑劣さをちらつかせながら、何かにとりつかれたような欲望と狂気で、2時間38分、緊張感を途切れさせないのは、やはりデイ=ルイスの名演あってこそだろう。
 ポール・トーマス・アンダーソン監督の冴えわたる演出は、石油が噴出するシーンで一目瞭然。天に向かって上がる黒い液体とともに、燃える炎、そこに向かって走るダニエルに、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドによる重低音の音楽も相まって、映画的興奮をかき立てる。デイ=ルイスに負けない存在感を発揮するのが、主人公に対し、つねに反発するカリスマ的な宗教家イーライを演じたポール・ダノ(その兄も含めて2役)。人々を扇動する演説ぶりには鬼気迫るものがあり、ダニエルとイーライが長年の落とし前をつけるラストは、稀にみる衝撃度だ。(斉藤博昭)

カスタマーレビュー

名優頼みの正攻法  (2008-08-26)
 正攻法だ。古き良き時代の安心感がある。小手先のテクニックや思わせぶりなカットは皆無で,カメラはひたすらにダニエルを追う。
 さすがは名優,一人で映画を背負うことができる。共演の牧師役が力不足でなければと個人的には悔やむ(エドワード・ノートンではいかが)。
 良くも悪くもデイ=ルイス頼みの映画である。彼は共演者のレベル次第で,輝きの色を変えるように見える。デ・ニーロ,パチーノとはそこが違うと思う。ダニエルには魅力的な共演者をぶつけて,競演させることで映画のパワーが倍増するように思うが。

石油屋の物語  (2008-08-24)
山師?人間石油屋を描く。富を求め、人として破滅する。
アメリカがそこに在るのか。
ただ、宗教との関わりに、そこまで描いてよいのか?と思ってしまう。
破滅の物語は、重苦しい余韻しか残してくれない。

人間模様を描く傑作  (2008-08-21)


主人公の環境や状況が移り変わるたび、内面・自我が徐々に変化し、次第に表面化していく演出は「素晴らしい」の一言! また、それをダニエル・デイ・ルイスが見事に演じきっています。石油を中心に周りの人間達が蠢き翻弄されていく様が丁寧に画かれており、人間模様を描いた傑作といえるのではないでしょうか。劇場で観終わった後、数日は腹の中にこの映画の何かが残っていました。ストーリーのスケールを考えると時間は短く感じます。

ポール・トーマス・アンダーソン監督について、ロバート・アルトマン監督が引き合いに出されますが、この映画に関してはスタンリー・キューブリックを連想しました。オープニングシーンで「2001年宇宙の旅」を、各シーンの絵の決まり方や(「バリーリンドン」)、ラストの部屋(「シャイニング」のホテル)など、ストーリー展開などで端々にキューブリックの影響を見いだせます。

石油つながりの偽家族  (2008-07-26)
この映画は、マスコミが宣伝しているような欲望ギラギラの愛憎劇ではけっしてない。天涯孤独な男が抱く<家族への渇望>がテーマとなっており、ある意味ビスコンティの『家族の肖像』に限りなく近い作品なのかもしれない。冒頭の三つの山を背景に鳴り響くサイレンのような音は、血のつながっていない偽家族が奏でる不協和音にさえ聞こえてくる。

家族の肖像画のコレクションや子供時代の幸福な夢を老教授に見せることによって、ビスコンティが主人公の孤独や家族への憧憬を演出したのに対し、本作品においては息子を爆発事故から救出したり、家族の悪口をいう輩に腹を立てたりする程度のたわいもないエピソードの羅列が散見されるだけ。石油王たるビジネスマンとしての側面を持つプレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)が、偽息子や偽弟をビジネスに利用したりするので、プレインビューが本当に家族を欲しいと思っているのかが観客にうまく伝わってこないのだ。

本作品には、第3の啓示と名乗る新興宗教を司る怪しい神父イーライ(ポール・ダノ)が登場するのだが、このプレインビューの対極に位置するキーパーソンになぜこんなオーラのない役者をキャスティングしたのかがはじめは疑問であった。しかし、パイプライン敷設権欲しさにプレインビューが洗礼を受けたことによって兄弟となった神父を、偽家族の一員として若干幼く描く必要が演出上あったことが後になってわかった。

弟を名乗って現れた男が消え去り、HWがライバルとなって自らの元を去ったプレインビューには、どうしても確かめたいことがあったにちがいない。それは、石油事業への投資を持ちかけてきた、宗教上の兄弟であり、かつ山師という意味では同じ職業といえるプレインビューの分身イーライに流れる<血の色>。<ボウリング>のピンによって砕かれた頭蓋から流れる、まるで石油のようにドス黒い血を見た時、自分の周りにいた偽家族が<石油という利権>によってつながっているだけで、本当の血族にはけっしてなれないことを悟ったのだ。

カエルの雨あられのほうがいい  (2008-07-23)
一人になりたいと言い続けただけの男の話。PTA渾身の大傑作、石油王の一代記と言われているが、石油王プレインビューの、石油のためにあらゆるモラルをかなぐり捨てるような業の深さが描かれているわけではない。本当に交渉のために「息子」を利用する冷血漢であれば、聴力を失った後のほうが利用価値は高いはずだが治療と教育を優先し、「弟」とは実利を超えて一時的に家族経営の体制を作ろうとした。それでも「息子」「弟」と擬似家族の絆を結ぶことを避け、やはり一人になる。
福音派の牧師と対峙し、信仰と実利、神と石油との戦いと葛藤を描くわけでもない。PTAがアメリカと映画の歴史に払う敬意は清清しいが、情緒不安定でもプリンの懸賞を集めて世界一周をするような屈折したアメリカ人を描いて欲しいし、石油の炎柱よりも蛙の雨を見たい。
敢えて言えば"Bastard"と「息子」へ独り言のようにつぶやくシーンが美しい。家族だけは手に入らなかった自分の人生を呪うわけでもなく、目の前の息子をとにかく罵る凄みは、ようやく終盤でプレインビューの造形に深みを増した。

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