今の時代には作れない
(2008-11-18)
映画公開時に劇場で観ました。もう、20年以上前ですかね。大スクリーンの迫力っていったら素晴らしく、映像が大変美しくまさに絵巻物を観ているようでした。何億もかけた城の炎上シーンを一発撮りでやるんですから、誰もまねのできない作品です。当時のバカな評論家連中はこの作品に対して、高い評価をつけず、酷評が多かったのは残念でしたね。黒澤映画の中でも傑作の内の一つです。冒頭の猪の狩り、城の炎上、合戦、ラストの物悲しい笛の音、など、見所満載です。今の時代の映画制作者に見せつけて遣りたい映画ですね。オリジナリティもまるでないリメーク作品や漫画原作の作品しか作れないバカ監督がなんと多い事か。スピルバーグ、ルーカス、コッポラ、イーストウッドの先生ですからね、黒澤明という人は。それだけでも凄い事ですがアカデミー賞の外国語映画賞をデルスウザーラで受賞、また、アカデミー特別賞も獲得しています。また、北野武監督がHANABIで受賞したヴェネチア映画祭金獅子賞を1954年羅生門で獲得し、その受賞作の中での1位も獲得しています。何をかいわんやですね。映画の世界の中で突出した人の一人です。世界に誇る日本人の一人ですね。寧ろ世界の方が有名かも知れません。こんな凄い人の映画を日本語で観る事ができる私達は幸せですねー。数年前、フランスのDVDショップへ行った時、特等席に黒澤作品が並べてありました。嬉しかったですねー。芸術の国であたりまえのように評価されているんですから。手に取ってみていたら、店員さんに黒澤映画は好きか?と聞かれ、もちろん、あなたは?と質問したところ、そのフランス人は、全部観たけど、一番好きなのは赤ひげだね、と答え、私が何故と聞くと、黒澤監督の演出を超えた三船敏郎の演技だね、と。わかる人には国境はないですね。
後期の黒澤作品では最も優れた映画
(2008-09-23)
黒澤明監督の時代劇といえば50年代〜60年代の「七人の侍」「隠し砦の三悪人」「用心棒」「椿三十郎」といった傑作群がありますが、集大成のような「赤ひげ」を発表した後、混迷の時期に入ります。「暴走機関車」や「トラ・トラ・トラ」のハリウッド進出の失敗、自殺未遂、三船敏郎とのコンビの解消などの公私ともに彼の人生で一番つらかったのではないでしょうか? この後の作品はカラーになり、絵のような美しい場面を見せてくれるようになりましたが、作品の評価は低迷していきます。私も以前のエネルギッシュな映画と較べると、何か中途半端に達観してしまって醒めているような後期の作品はいまひとつ画面にのめり込めず、映画自体もそういう感情を拒否しているかのような感じをうけました。その中にあってこの「乱」は絶頂期が100とすると80ぐらいのパワーが感じられた作品で後期の作品群ではベストと思います。
衣装や撮影などの技術面は最高レベルだと思います。合戦シーンも迫力があります。脚本も悪くないと思いますが、星4つにした理由は配役・演技です。主役の仲代達矢は、無理に老けさせるよりも当時の三船敏郎が演じていればメーキャップなしでもよかったし、「生き物の記録」を彷彿とさせる演技が期待できたのではないでしょうか?隆大介、根津甚八、寺尾聡、宮崎美子といった若手の出演者は熱演ですが、衣装や髷にも違和感があり、田崎潤、植木等、井川比佐志、加藤武といったベテラン俳優たちと較べると実力の差は歴然としています。当初の予定では高倉健が演じる予定であった重臣を油井昌由樹が演じてますが、重要な役どころにもかかわらずほとんど印象に残りません。若手の俳優で善戦したのはピーターと原田美枝子ぐらいでしょうか? もしこの作品に全盛期の黒澤組の俳優たちが出演していれば★5個になっていたと思います。
黒澤映画としては80点ですが、当時の邦画のレベルでは文句なしの傑作だと思います。
天の視点から描きさえしなければー
(2008-08-18)
この作品が公開されてから間もなく四半世紀になりますが、その間これほどのエネルギーを注いで創られた日本映画というのはちょっとなかったと思いますし、海外においても、シェイクスピアを土台にしたものでこれを凌駕する規模の作品はその後ないのではないでしょうか。 CGを使わずにすべて手作りで過去の戦争絵巻を再現しようとした映画作品としてもこれは最後のものではないかと思われます。 主役の仲代達矢氏はもちろんのこと、寺尾聡さんや根津堪八さん、隆大介さんもまさに適材適所の配役。 さらには油井昌由樹さん演じる丹後や井川比佐志さんの鉄修理(くろがね)も実に魅力のあるキャラクターですが、なんといっても楓の方を演じた原田美枝子さんは“蜘蛛巣城”の山田五十鈴さんに勝るとも劣らぬ力演で、まさにお見事の一言です。
タイトルに象徴されているように、乱れに乱れたこの世の地獄絵図が展開されるのですが、“天の視点”から描かれたという作品だけあって、戦争のヒロイズムではなくその悲惨さ、無益さがえんえんと映し出されます。 しかしそういった映像の見事さに語り口がついていけていないと思います。 たとえば主人公が都合のいいところで正気に返ったりまた発狂したり死んだりするところがどうしても作為的に見えますし、“人はいつも同じところをぐるぐる廻っているものさ”とか“天は泣いているのだ! 人間の愚かさに”といった、どこかの文学書から抜き出してきたかのようなセリフがたくさん出てきますが、それが不思議と心に響きません。 肝心なメッセージを観客の心に“感じ取ってもらう”のではなく、大仰な身振りと大声で押し付けようとするかのような場面が、黒澤さんのあまり成功していない作品には時々見受けられますが、これなどもその一例かもしれません。 そもそも人間に持てるはずのない“天の視点”で描くのは黒澤さんといえどもやはり無理なのではないでしょうか。 この作品に不満を持つと言う方もだいたい同じような意見なのではないかと思います。
人間の行いを客観的に、第三者の立場で見ることができる作品です
(2008-08-17)
黒澤監督、75歳の時の作品、ライフワークとも言われています。
人間、その時は良いと思ってやったことでも、
傍からみると、愚かなことばかりやっています。
また、年が経って振り返ってみると、
自分自身でも愚かだったなぁと思うことばかりです。
これには、年を取り、価値観の変化もあると思います。
でも、これはどうしようもない、ことなんでしょうね。
何といっても、その時 自分は良いと思ってやってるんですから、、、
観てると、溜息が出て、やるせない気持ちになります。
まさしく、人生そのものです。
黒澤監督のライフワーク
(2008-05-24)
私は黒澤監督の映画をいくつか観てきましたがこれほど心を打つ作品はありませんでした。正直、七人の侍より好きなくらいです。なぜこんなに過小評価されているのかわかんないです。なので私は星5つです。ぜんぜんレビューになってなくてすみませんが、一票投じる感じで書かせてもらいました。