素晴らしい作品!見事な「生への賛歌」
(2008-08-31)
個人的には、現時点で今年観た映画の中では1位を争う作品です。単に監督との「感性」がぴったり合ったというだけかもしれませんが・・・。でも単に、「一作の映画」としては傑作だと思います。「性へのめざめ」は「生きることへの喜び」につながり、そもそも人間も動物であるが故に生きることにおいて「生」と「性」そして「自然」は切り離せないもの。D.H.ロレンスの原作を越えて、観客に生きることの素晴らしさを教えてくれる作品だと思いました。
「めくるめく官能の世界」を期待した観客は、思いきり腰砕けだったと思いますし、なぜ成人指定になったのか腹立たしい!です。
そもそもロレンスの原作自体、性愛文学ではない。当時の英国封建社会の中で生きる、ひとりの女性の自立心を「性へのめざめ」と「階級社会への批判」を通して、叙情的に描いただけ。
原作に対する忠実度からゆくと、ケン・ラッセル版にはかなわない。そこに、女性だけではなく「人間の生きることへの根元的な喜び」を新たな視点としてを加えたことにより、みずみずしく、優しく、素直に生きることの大切さを教えてくれました。人間が人間らしく生きることの原点を探求した作品として、高く評価します。それが、その単純なことすら、私達にとっては、ますます困難な、あるいは不可能な時代になっているからです。それ故、この作品は尊い。
ちなみに、この作品と今年のマイ・ベストを争っているのは、アン・リー監督の「ラスト・コーション」だったりします。どちらも、監督の力量が輝いた傑作だと思います。
私も、観損ないそうになった作品ですが、どうか、宣伝コピーに惑わされず、より多くの人達に観て欲しいと思い、このレビューに託しました。
少女のような心
(2008-08-18)
下半身不随となった夫クリフォードと愛のない生活を送る妻コンスタンス。ある日コンスタンスは森番のバーキンと出会い愛の欲望に溺れていく。観ている途中はそれがクリフォードに知られて離婚となったりするのかと思いながら観ていたけれど、まったくそのようなことは起こらず浮き沈みのない平坦な映画。ただ少女のようなふるまいをするコンスタンスに不思議な魅力を感じました。
クリフォードは特権階級に属していて人を支配する立場にある人間。しかしコンスタンスは逆で人を使うことをよく思っていない。支配に関して会話をするクリフォードとコンスタンスが印象的でした。
人を支配したくない。愛のある生活を送りたい。そんな純粋無垢な希望を持つコンスタンスがとても魅力的で心に残りました。