心の糧
(2008-03-11)
ハロルドは裕福なユダヤ人で、勝つために走る。エリックは宣教師である。中国でうまれエディンバラ大学で教育を受けたあと、ふたたび中国にもどり伝道に従事してなくなる。彼が走るのはそれが神の喜びだからである。
スポーツが商業主義から遠かった時代、その日暮らしの大衆にはスポーツは無縁で、上流階級のものだった時代の、ふたりの青年がオリンピックで金メダルをとるまでのストーリーである。人生に無目的でそれでいてあくせくしている私は、ふたりの強い意思と人格にこころを打たれた。
映画は虚実おりまぜてつくっているとのことだが、それはそれとして、周囲のひとたちがまた立派で、”かなわないな”とおもうと同時に“見てよかった”とおもう映画だった。
映像や音楽も堪能できるが、イアン・ホルムの演技が素晴らしい
(2008-02-21)
ヴァンゲリスの音楽も、撮影も脚本も演出もすべていいが、なんといってもキャストが最高だった。主役のベン・クロスの走り方(実際に撮影前に相当トレーニングしたらしい)、イアン・チャールソンの歓喜に満ちて天を仰ぐ表情、ナイジェル・ヘイバースのセレブな雰囲気(シャンパンをハードルに乗せて練習する)、そしてジョン・ギールグッドやパトリック・マギーをはじめとするベテラン英国俳優のサポートもこの作品のグレードを高めていたと思う。
だが、なんといってもコーチ役のイアン・ホルムの名演技を見て欲しい。「エイリアン」「ロード・オブ・ザ・リング」などの映画で長年脇役として活躍してきた彼の集大成がこの映画の演技だと思う。オリンピック決勝でイギリス国家が流れ国旗が揚がった瞬間にハロルドの優勝を知った彼の喜びっぷり、帽子を打ち抜き、ハンカチを握り締め全身で喜びを表現するイアン・ホルムの一人芝居の名演は全てをさらってしまう。
余談だが、イアン・チャールソン扮するリデルが、日本軍の捕虜収容所で亡くなっており、この事実を考えると我々日本人としては見ていて複雑な気持ちもある。