恋人の死を乗り越えて
(2006-08-11)
私の中学時代とS&Gの活動時期が重なっていた。その頃からA.ガーファンクルの天使の歌声に魅せられていた。本作は、ガーファンクルの恋人の自殺の後に製作されている。タイトル作などには、その影が落ちていて胸を打つが、全体として思ったよりも力強い出来になっているのは、驚くと共に感動した(無理をしていたのかもしれないが)。
生粋のニューヨーク子のガーファンクルが「心はいつもニューヨークにあるさ」と情感を込めて唄う「Heart in New York」。そして極めつけは「Hang on in」。この状況で「頑張りなよ、心を強く持って、愛には何時かは道が見つかるさ」と力強く唄う心境。勿論、普遍的な意味を持っているのだが、この場合、自分自身に向かって言い聞かせていると考える方が自然だろう。泣けてくる。ファンは勿論、そうでない方も必聴のアルバム。
アート人生最悪の時
(2006-05-11)
突然恋人に自殺されたらどうしますか?
アートは当時恋人だったローリー・バードに自殺されています。
それを知ってこの写真を見てください。言葉がありません。
「シザーズ・カット」を聞くとつらくなります。
最後の「愛している、ただそれだけ・・・」まで聞くと・・・。
ジャケットには「ローリー・バード」の写真。それは顔の唇まででカットしてあるもの。
そして内側には小さく、「バードへ 君に捧げる」と書いてあります。
「ウォーター・マーク」で幸せそうに笑っているアートの写真。
それを撮ったのもバードです。こんな事になるとは知らずに。
残念ながらUSA盤ではアートがぜひ入れたかった「ロマンス」が「ブライト・アイズ」に差し替えられています。
レコード会社側の要請だったそうですが。もう入手できない日本盤は
アートの希望通り「ロマンス」が入っています。
できれば日本盤を手に入れてください。(難しいでしょうけれど)
だから星4つ。日本盤なら星5つ。
秋になると聴きたくなるアルバム
(2005-09-24)
Artっていう名前がぴったりな感じのする人。最初にリアルタイムでこのアルバムを買って聴いたときは、綺麗すぎて、繊細すぎて、アルバム全体も短い感じで・・・って、なかなか素直に入っていかなかったのですが、何シーズンか経つうちにじわじわと良さが染みるようになりました(自分の年のせい?)
自殺してしまった恋人に捧げたアルバムということですが、相手への想いとともに孤高な自身の姿というか毅然とした態度というか、そんなものが感じられるように思います。
とは言え、ジャケット写真に、ちょっとした「遊び」が隠されています(最初見たときは何だこれ?と思いました)。とくとご覧あれ。
"Angel Clare"と並ぶ傑作
(2003-01-16)
Artのソロ作では第一作"Angel Clare(天使の歌声)"の評価が最も高いが,本アルバムもそれと同列に扱ってよい傑作である。何と言っても,本アルバムの魅力はArtの選曲のセンスであり,どの曲もArtの声に完璧なまでにマッチしているのが素晴らしい。アルバム全体を通して,美しい演奏,歌唱が続くが,特にタイトル曲"Scissors Cut"には陶然とする思いである。"Hang on in"等のアップ・テンポの曲も悪くないが,バラードにこそこのアルバムの魅力の本質があると思う。屈指のポップ・ボーカルとして推薦したい。
天使の歌声に陰りが
(2002-10-14)
ガーファンクルの作品の中では佳作に入ります。
シングルカットされた「Heart In NewYork」は再結成コンサートでも演奏されました。非常にタイムリーな楽曲だったのではないでしょうか。
日本では「北風のラストレター」がわりとオンエアされたと記憶しています。
旧友のジミー・ウェッブらの作品を取り上げ、中身としては結構グレードが高い作品だと思います。
ただ、このあたりから天使の歌声にも陰りが出てきたようで、これ以降の作品からガーファンクルの声質ががらりと変わってしまいます。さすがに寄る年波には勝てないといったところでしょうか。ファンとしては非常に残念であり悲しくもありといった気持ちにさせられてしまいます。
近日新作が出るようですが、天使の歌声よりベテランの味わいと楽曲選びのセンスの良さに期待したいと思います。