スカーレット・ヨハンソンのコメディエンヌの魅力を引き出すウディの名伯楽ぶり
(2008-10-27)
いいぞ、ウディ、この調子で作品を作り続けてくれ、と喝采を送りたくなる作品。前作に続いてロンドンが舞台。前作のシリアス・サスペンス「マッチ・ポイント」で共演したスカーレット・ヨハンソンの、もう1度一緒に仕事をしたいという希望にこたえて、彼の本領発揮のコメディのアイディアにサスペンスの要素を加味した脚本を用意し、ウディ自らも手品師役で出演した作品。ミア・ファローと組んでコメディの傑作を連発していた頃を髣髴とさせる出来で、気軽に楽しめる作品。コメディエンヌとしてミア・ファローに劣らないスカーレットの1面をよく引き出しており(普段は眼鏡をかけた女学生という設定で色気を少し抑え気味にしている)、何といっても英国貴族の御曹司が惚れ込む容姿端麗さはミア・ファローよりも説得力に富む。敢えて難点を挙げれば、サスペンスとしては底が浅く、結末が読めるし、例えばラスト近くの犯人の詰めの甘さ等あり得ないはずだ。しかし、本作ではキビキビとした気持ちよい筋の展開と軽妙洒脱なウディ−スカーレット・コンビのやり取りに軍配をあげたいと思う。時間も約1時間半で長すぎないのがよい。
ところで、今後もウディ−スカーレットのコンビの作品はあるのだろうか。もうスカーレットを盛り立てるのは十分やったという心境なのだろうか。スカーレットであってもなくても、若きミューズの魅力を開拓するウディの名伯楽ぶり(本作でスカーレットの父親のふりを演じるのが象徴的)を今後も期待したいものである。
評価に悩む作品
(2008-10-09)
コメディとして観るなら、洒落ててオチがバカバカしくって不思議な面白さ。ヨハンソンとアレンの凸凹コンビのやりとりは微笑ましい。
だがヒュー・ジャックマンの演じる英国貴族の人物像がいかにもという感じの薄っぺらさで、もったいない。
この軽さをよしするか、もの足りないとするかで評価に悩む。決して嫌いではないんだけど…
結局サスペンスとしてはひねりがなく、ストーリーが読めてしまうので☆3つ。
面白かったです!
(2008-10-06)
ネタ的には普通だがキャラの面白さ、
出演者の魅力でとても楽しめた。
サクサク進む展開、飄々とした雰囲気、
全編すっとぼけた調子なのもいい。
音楽も、これまたゆるくていい感じ、
気分を盛り上げてくれました!
ウディ・アレンは、イギリスに舞台を
移してからの方が私は好きだ。
ヒュー・ジャックマンも、ミュータントより
こういう英国紳士な役が素敵だと思う。
のんびり何度も観たくなるような、
軽いタッチのコメディでした。
しゃれた佳作だが、ウッディ・アレン自身の役柄は微妙
(2008-09-24)
英国に舞台を移した前作「マッチポイント」で大きな転換期を迎えたウッディ・アレン。この作品でも舞台は英国だし、スカーレット・ヨハンソンが再び主演ということもあって期待大でした。
一見美人なのか不美人なのか判らないスカーレット・ヨハンソンはとても魅力的だったし、ストーリー展開も面白い佳作でしたが、個人的にはウッディ・アレンの役柄は微妙でした。序盤でマジシャンとしてしゃべるウッディ・アレンが、彼のトレード・マークとなったユダヤネタのジョークを話しますが、ちょっとくどいような気がしてしまい正直途中まではアレンの存在がうっとうしかった。生活習慣の異なる英国に紛れ込んだユダヤ系アメリカ人の違和感といったものを描きたかったのかもしれませんが、この作品ではもっとヨハンソンを前面に出して、アレン自身は俳優としての出演はしない方が良かったのではないかと思いました。神経症的な中年〜初老のユダヤ人のニューヨーカーが、若くて、そしてアレン自身がお気に入りの女優が演じる女性に好感を持たれるというパターンは、アレン自身の年齢も考えると少なくとも主役に設定するのは無理のような気がします。(今回は偽親子の関係でしたけど)
アレン流「風習喜劇」
(2008-08-06)
同じくロンドンを舞台にした前作(『マッチポイント』)を見た時にも思ったが、アレンの持ち味である諷刺性が、ホームグラウンドであるニューヨークを舞台にする時ほど辛辣にならず、ほどのよい風味として効いて、かえってよい按配に仕上がっている。前作のようなロンドンの新名所アルバムのようなサービスは控えめ。その代わりというわけでもないが、本人が、ユダヤ系アメリカ人の手品師の役で登場し、ヒロイン(前作に続いてよい味を出しているスカーレット・ヨハンソン)の相棒として活躍する。
紳士淑女が集うガーデンパーティに紛れ込んだ「アメリカから来た油田王」(実はアレンの手品師)が趣味のカードマジック!を嬉々として披露するとイギリスのセレブたちがどのような反応を示すかが見もの。このあたりにアレンのイギリス人観察の鋭さがよく出ている。イギリス演劇に親しんでいる人が見れば、イギリスの伝統的な風習喜劇とアレンの世界の意外な親近性にきっと驚かされることだろう。