ユニバーサル ミュージック クラシック
心掻き乱れる旋律に、タン・ウェイの決然とした美しさが甦ってくる。 (2008-02-19) 「ラスト、コーション」は、久しぶりに映画らしい映画として堂々たる風格を持った作品。2時間40分もの上映時間が少しも気にならない濃厚なラブ・サスペンス、うねるような官能の深淵に酔わされること必至な傑作だった。 また、今作は新人女優タン・ウェイを存分に堪能する映画でもある。そして、そのサウンドトラック・アルバムも、激動の時代の大きな渦に自らも加担しながら、いつの間にか愛欲と大義の間で翻弄されてしまう主人公ワン・チアチーの感情の揺らめきを見事に表現したかのような激しく美しく切ないスコアになっている。 劇中何度か流れる2つの楽曲、優美で叙情的なワルツである「ディナー・ワルツ」と心が掻き乱される旋律の「ワン・チアチーのテーマ」を聴く度に、タン・ウェイの自らの“運命”をすべて受け入れたかのような決然さに満ちた美しい顔立ちが甦ってくる。 終盤、日本料理店での、ウェイとイーのふたりの間の決定的な情動のシーンでのタン・ウェイが歌う「天涯歌女」が収録されていないのが残念だが、映画を堪能した人には是非お薦めの1枚。