テーマは和解
(2008-05-27)
テーマはずばり“和解”だそうだ。しかしこのフランス映画、その家族の和解のさせ方が一筋縄ではいかない。普通の映画だったら、和解者の一方を不治の病で死なせるなどしてヒューマンな結末に持ち込むところだが、この作品は<嫉妬、誤解、嘘>を生んだ原因の真実が次第に明らかになることによって、腹違いの兄妹、元妻2人とその夫、そして夫の現恋人という(ただでさえ複雑な)ギスギスした人間関係が修復していくという練られた脚本が魅力なのだ。
ニースのキャバレー<青いオウム>のオーナー、ガブリエルが突然の自殺。ガブリエルの片腕だったニッキー(ジェラール・ランヴァン)に当然譲られるはずだったキャバレーは、遺言によりなぜかニッキーの子供たちへ。そこにニッキーの元妻アリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)が現れ、ニッキーと同じアルジェリア移民である後妻シモ−ヌ(ミュウ=ミュウ)から正統派フランス美人妻アリスに嫉妬していたことを告白されるのだが・・・。
ニッキーの現恋人で歌手役のエマニュエル・ベアールをはじめ、ドヌーブや妹役のジェラルディン・ベラスなどが生歌を披露しているが、この映画の主人公はそんなスポットライトのあたる<女たち>だけではない。<青いオウム>を譲渡してくれなかったことをなじるニッキーと、彼の前に幽霊となって現れるガブリエルとの男の哀愁漂う会話も、けっして見逃せないこの作品のキーポイントだ。新たな人生を前にして逡巡する男の悲哀にシンクロする、けっしてうまくはないがなぜか心に響く女たちの歌声が、バラバラになっていた家族の誤解や嫉妬を、やがて懐かしい思い出へと変えてくれそうな予感のする渋ーい作品だ。
青いオウム、翡翠のハート
(2008-04-01)
とてもいい映画です。映画祭のオープニングになった作品とはいえ日本では知名度が低いですが、より多くの人に見てほしいと思います。初めは人物関係が複雑で解りづらいかも知れませんが、挫折や過ちがあってこそ人生は美しいと思わせてくれる温かい作品です。
映画に慣れた人のための映画
(2008-01-12)
フランスはニースの「青いオウム」というキャバレーを舞台にした映画。このお店のオーナーガブリエルが死ぬ。ガブリエルを父親同然と慕い、お店を任されていたマジシャンのニッキーは、葬儀に彼の子供たちや、元妻・元元妻、を呼び戻す。ニッキーは、ガブリエルの遺産は自分のものになると思っていたのだが、実際は、彼の子供たちに財産を譲る遺言書を作成した上での、自殺だった。突然不思議なお店を任されることになった子供たちは、戸惑う。彼らも、元妻たちも本々ここでの暮らしがいやで出ていった者たちだから。再会した面々は今も昔もそれぞれが大きな秘密を抱えていた…
舞台はキャバレー「青いオウム」限定。しかし、カトリーヌ・ドヌーブ始め女優陣・俳優陣がすばらしい。なんというか、大きいイベントはないけれど、見ている間中飽きることがない。面白い映画というより、映画を見るのに慣れている人のための映画。
この味わいが分かれば大人。
(2007-10-09)
遺産の件でもめて、最後はわかりあう家族の形は
同じフランス映画の「サンジャックへの道」にとてもよく似ています。
ただしあちらより精神年齢の高い人向け。
まず設定がクラブなのでお子様は行かない場所ですね。
それから離婚問題でもめてる夫婦が養子縁組の事を議論するので。
クラブのオーナーもいわゆる服装倒錯者ですし。
移民の事情や、元妻のスキャンダラスな過去、ゲイの息子、どれをとってもガキんちょには
ちょっと「意味わかんな〜い」お話かもしれません。
でも人生少しだけ苦労したり苦味を味わったくらいの年齢の方でしたら
それぞれの登場人物の人生に何かしら共感するものをみつけたり
感情移入したりするんではないかと思います。
「サンジャック」にたどり着くまでの道がこの映画ではクラブという移動の無い空間の中で、過去と現在の時空を移動する事で表現されています。
ラストでみなが一体どんな「サンジャック」にたどり着いたのか
ぜひ見てください。
ほんとにいい映画です。