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ノワール感覚が蔓延する風変わりなブラック・コメディだが、この邦題はひどすぎ! (2007-10-21) 「殺しのドレス」と「クリスティーン」、2本のカルトなスリラーの中で、内気でオタクな青年を演じていたキース・ゴードンの監督作。ブライアン・デパルマとジョン・カーペンターと言う屈指の映像作家から映像テクニックを実習したであろうだけに、オフビートなタッチに人工的に装飾された映像美、全編フィルム・ノワールのムードが蔓延するブラック・コメディだ。 現実社会に、幼少期のトラウマとも言うべき主人公の心象風景、妄想、自身がタイトルロールを演じる自作「歌う探偵」の新作小説世界が混沌と繋がり、それらがめまぐるしく錯綜する展開、かなり風変わりでお世辞にも明解とは言えない自己陶酔型プライベート・フィルムと言った趣だが、鮮烈なノワール的ライティングの見事さと時折見られるクールでスタイリッシュなカメラアングルがそそられる。 ケイティ・ホームズとの可笑しくも切ない淫靡な白昼夢のミュージカル・シーンも楽しい。 複雑怪異なストーリーを検証したい人はキース・ゴードン自身の音声解説がお薦め(笑)。 同じく日本未公開作品ながらすごぶる快作であったジョナサン・デミの「愛されちゃって、マフィア」をちょっと想起させるが、残念なのは、デミ作品同様一片のセンスのかけらを感じさせない邦題のあまりのヒドさ。今作を楽しめる嗜好を持つ人たちにとっては全く食指が動かないであろうタイトルを付けられたことは、この映画にとって不幸なことだ。