至上最も皮肉なヒーロー
(2008-09-06)
冷たい都会を舞台に、時代に、社会に取り残された男の内面描写で淡々と進む物語。
今見返してみると、この映画が伝えたいことは大きく分けて二つあって、
ひとつは、時代ってのは常に流動的であって、その時代、その社会事に取り残されていく
者がいたり、そこに溺れていくものがいるという事だ。個人の価値観は皆違うので
それを受け入れる者、そこに孤独を覚える者がいるのも常に当然だろう。
そこで開き直って、反倫理的な行動をとったものがいても、それを100%悪だなんて
誰にもいえないだろう。
そして、もうひとつはアメリカ社会の英雄願望的なものだ。アメリカで英雄になる事の
皮肉さが、この映画からは滲み出ている。
よくよく見返すと、なんでもなかったラストシーンが、とても意味があって、憎い演出
のように思えてくる。
今みるとデ・ニーロ以外にこのトラヴィスを演じれる役者はいないだろう。はまり役すぎる。
■ロードムービーが、ホラーに転調するくらい映画は自由だ。
(2008-06-11)
■この映画は、主人公の精神の変容にあわせるように、
映画自体が転調する、まさに役者が映画を食う映画だ。
「地獄の黙示録」もそうだが、
映画を見ているつもりが、戦場やストリートに投げ出された
ようになって、本当にドキドキさせられる。
ニューヨークの夜を、甘いジャズで描くセンスと、
軌道を外れたバイオレンスのコースターにめまいする
こういう映画が、一つの映画らしさの発露であることを
改めて実感させてくれる名作である。
全て童貞男のヒーロー
(2008-05-13)
20年ぶり見返してみたけど以前観たのと
随分印象が変わっているなぁ… 昔はもっと単純な
「 虐げられている少女を救い出すヒーローの物語 」
に観えていたけど、今観ると、狂おしい程の孤独、
孤立感がトラビスのような若者を狂気に走らせる
社会への警告映画だと思えた。
初めてのデートで女性をポルノ映画に誘ってしまう
トラビス社交性の無さに涙。
しかし、肉体改造、仕込み拳銃の改造をしている
シーンのカッコ良さは今見ても変わらない。
『いつか俺は何かでかいことをやってやる…』
トラビスは社会からの孤立感を感じて悶々とする
全て童貞男のヒーローだ。
主人公の行動に共感できなかった
(2008-05-08)
他のレビュアーの方々が絶賛されていたので買いましたが、ロバート・デ・ニーロ演じるこの映画の主人公、"トラビス"の行動には全く共感はできませんでした・・・確かに、孤独や閉塞感というのは理解できます・・・が、だからといって大統領候補を殺そうとしたり、それに失敗したからといって、売春させられている少女を救おうと、売春宿を襲撃して人を撃ちまくる・・・これではただのアブナイ人です・・・ただ、特典映像のなかで、誰かが(失礼)当時の時代背景や流行でこういう映画が作られたのだとか、映画は過去の記録だとも言っておられました。そういう意味では楽しめるかもしれません。若き日のロバート・デ・ニーロ(本当に若い)やジョディ・フォスター(かわいいです)、当時のNYの町並み等・・・個人的には、特典映像のなかの"元タクシードライバー"達(NYの本物の)へのインタビューが、なかなか面白いと思いました。 私的に映画の内容は ☆3つ ですが、純粋に映画を楽しみたいという人は、評価が別れるのではないでしょうか? 買うのはレンタルで観てからでもいいかもしれません。
官能的な音楽とハードな内容。
(2008-04-16)
ベトナム戦争での後遺症を引きずる主人公トラビスは、不眠症に悩まされてタクシーの運転手に職を得る。タクシーから見るニューヨークの街は、様々な人間のエゴと欲望と狂気に満ちた異常な世界。
デ・ニーロは、そんな混乱した世界を浄化したいと願う屈折した孤独なヒーローを演じている。
14歳の売春婦アイリスを救う為に立ち上がり、少女の両親から感謝の手紙を壁に貼り付ける。一躍時の人になったトラビスのタクシーに映画の前半で振られたベッティが乗車し誤解を詫びるが、トラビスは既に気持ちも醒めておりクールに対応する。
決して格好いいヒーローではないが、デ・ニーロが演じたこともあってか、見るもの、特に若い男性を惹きつける不思議な魅力があった。
ずっと後で気付いたことだが、アイリスのちょっと異常な紐の役をハーベイ・カイテルが演じていたのには驚きだった。