ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
“虫けら”がみた夢の跡 (2008-01-14) 40年代後半に活躍し、“バグジー(虫けら)”と渾名された傑物、ジョージ・ラフトやフランク・シナトラが敬愛してやまなかったベンジャミン・シーゲルの栄光と挫折をバリー・レヴィンソン監督、ウォーレン・ベイティ主演で描いたギャング・ムーヴィー。 金遣いが荒く短気で女好き、ムッソリーニ暗殺を本気で考える荒唐無稽なところもあるが、愛妻家で子煩悩なところもあったバグジー。荒涼たるネバダ砂漠に商機を見出し、カジノシティ・ラスベガスの先駆となるホテル・フラミンゴの建設に無茶な資金繰りをしながら全精力を傾けた挙句、愛人に資金を掠め取られた上、最後には彼に限界をみた仲間から消されてしまう。東欧系ユダヤ人としてニューヨークのどん底から頂点まで駆け足で上り詰めた男のアメリカン・ドリームはまさに夢のまま終わってしまう。 兄貴分でバグジーの後見人的存在であったマイヤー・ランスキー(ベン・キングスレーが好演)やチャーリー・“ラッキー”・ルチアーノ、ジョー・アドニス、フランク・コステロ、ヴィト・ジェノヴェーゼといった犯罪界のキラ星たちがたどり着けなかった高みに達しようと、バグジーはあまりに焦り過ぎたのかもしれない。ただ、「バグジー」と呼ばれることを極端に嫌い、「虫にだっていいところはある!」と相手を怒鳴りつけるその気概には爽快なものを感じた。 バグジーを好演したベイティだが、本作以降あまり目立った活動をしていないようだ。むしろ当時は大部屋女優であり、本作後ベイティと結婚したアネット・ベニングの方がその後の活躍著しい。まるで本作のバグジーとその愛人ヴァージニア・ヒルの関係そのままであるかのようなところが皮肉である。