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スーパースター☆カム・サヨン お気に入りに追加
キム・ジョンヒョン
出版社・発売元:

ポニーキャニオン

媒体: DVD
ランキング: 21029
発売日: 2007-02-07
カスタマーレビュー

韓国流、「格差社会」慰撫映画なのかな……  (2007-09-06)
 日本以上に激烈な競争社会の圧力が掛り、「格差社会」となっている韓国。

 本作が、そんな社会で埋没していく「敗者」に対する応援歌という位置にあるというのは、あまりに狙いがチープかもしれないが、「チープな狙い」をきちんと描ける映画は、やはり一級である。

 題材は韓国プロ野球黎明期の実在の球団と実在の人物である。

 明らかに時代が違う二人、実在の「カム・サヨン」が見た夢と映画の「スーパースター カム・サヨン」が見た夢は果たして重なるのか。特典ディスクに登場する本物の「カム・サヨン」の照れた佇まいからは伺いしれない。しかし、そんな野暮な問いはどうでもいいだろう。

  なぜなら本作の「癒し」は完成しているのだから。ただ「惜しい」ことに、「勇気を与える」までは足りてない。

 その原因は、後半の冗長な「いかにも」という演出で、監督は「結果の必然」を描いてしまっているからかもしれない。逆にいうと「カン・サヨンの努力=実力」を映画は描ききれていないのだ。

 「努力しないものの夢」や「実力の足りないものの夢」を「夢想」という。
だが、「夢想」は時として人間を「幸福」にする。言うまでも無く、それは、自分の周囲つまりは「世間があまりにせちがらい」時である。そんな時に人間は特に「癒し」を渇望するのだ。

 そういうわけで本作は、今の日本人にも十分に「届く」韓国映画ではないだろうか。

承認はかく求められ、かく到来する  (2007-03-07)
1982年に産声を上げた韓国プロ野球黎明期の投手・カムサヨンをモデルにした実話ベースの作品である。当時のユニフォームや韓国社会の雰囲気がほぼ忠実に再現されていて、それだけでも評者には興味深い。

主人公・カムサヨンに託されているテーマを評者なりに解釈すれば、「承認はかく求められ、かく到来する」ということになろう。

工場勤務から一躍プロ野球選手になったものの、チームは最下位を独走、投げるのは敗戦処理ばかり。チームメイトからもなかなか一人前の選手として扱ってはもらえない。敵の大エースからは一般人と間違われて、持っていたボールにサインまでされる始末。

「自分がここにいること」の意味は、どこにあるのか。

それを見出すためには、自力であがき、周囲に認めてもらうしか、ないのである。自分ができるのは、自力をさらけ出すこと、そして承認を求めることまででしかない。承認は、絶対的な他力によって、到来する。

終盤のクライマックスとなる首位OBベアーズとの一戦。投げ続ける主人公の与り知らぬところで、承認は到来する。スタンドで、タクシー事故現場で、電車の中で流れるラジオ中継で。

そして何よりも、投げ合う敵の大エース・因縁の“不死鳥”パクチョルスンがベンチで監督につぶやいた一言。この一言を言わせるために、全てを擲って投げ続けたといっても過言ではないほどの重さが、そこには込められている。

かくして承認は、カムサヨンに到来したのである。


ちなみにこの翌年、三美スーパースターズは最下位から大躍進を遂げる。そこで展開された諸々もまた、アイデンティティと承認とをめぐる深刻な問題をはらんでいたのだが、それについては関川夏央『海峡を超えたホームラン』を参照されたい。評者から見れば、この両作品は、海峡どころか時空を超えて、通底するテーマを抱え、結び合っているように思われる。

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