偏ってる映画
(2008-05-27)
冤罪から主人公を救うために奮闘する弁護士。
冤罪だということを全く理解しようとしない検事。
主人公達の主張をほとんど聞かない裁判官。
この構造はステレオタイプすぎるし、何より問題なのは映画で描かれているようなことが無いとは言わないが全ての刑事裁判がこの映画のようにおかしいものであると印象付ける映画の作りは考えが偏ってる気がする。
特典ディスクはお勧めです。
(2008-04-20)
私達一般人が裁判に参加するいわゆる「裁判員裁判」開始を来年5月に控えて「痴漢冤罪事件」というメッセージ性の強い題材を今、映像化したことはとても意義のあることだと思います。
余計なものは一切拝して脚本と役者、リアルなセットだけで勝負!という感じも伝わってきます。
映画といえば音楽と言えるほど背景に流れる音楽は映画にとって重要ですが、本作ではほとんどそれがなく、徹底してストーリーを追っていきます。
音楽の重要性を否定はしませんが、本作においては物語に引き込まれる一因になっているのではないでしょうか。
また演出やカメラワークも凝ったところがなく、それが「これを伝えたいんだ!」という明確な監督の意思表示にも感じられました。
なんの変哲もないただの日常を過ごしていただけなのに裁判沙汰に巻き込まれてしまう、特に男性には起こりうることです。
その「身近な恐怖」を感じました。
この「スペシャル・エディション」では特典ディスクと「刑法・刑事訴訟法ハンドブック」が付いています。
特典ディスクではアメリカ人レポーターが痴漢の実態を探るべく東京を歩きますが、それによると痴漢は日本特有の犯罪で痴漢を表す英語は存在しないようです。
メイキング「周防正行、裁判を撮る」では周防監督の本作への意気込みが感じられて興味深い内容になっています。
また「周防正行日本あっちこっち」では160分にもわたる周防監督の密着ドキュメンタリーが観られるのでファンの方には「スペシャル・エディション」をお勧めします。
こんなに恐い映画だったなんて。
(2008-03-27)
裁判は真相を明らかにするところだと思ってました。てっきり無罪を勝ち取ってハッピーエンドになるかと思いながら見ていた。しかしラストは…。無罪を言い渡す事が検察に楯突く事で決して裁判官には有益にならないのだと。観終わった後、恐くなりました。裁判官とは被告人を有罪にすることが仕事なのだと知ってとても恐ろしく思いました。あの留置場でも人間として最低の扱いでしかない。あんなとこに入れられたら例え無罪でもここから早く出れるなら、と考えてしまう。
瀬戸朝香の弁護士も最初はいやいや引き受けたが、ある時は女性の視点としてある時は司法を見る視点として新米弁護士役を好演してる。
鹿児島でも富山でも実際に冤罪事件は報じられている。現実に痴漢をデッチ上げ和解金を騙し取ろうとした事件も起きてしまった。もし共犯の女が自首しなければ…。一方で「体臭」で有罪判決の決め手となったり真実は闇の中です。現実には冤罪事件で戦っている人達はもっとたくさんいるのでしょう。日本の現在の司法制度と警察の調べ方に疑問と恐怖を感じました。「疑わしきは罰せず」と教えられたのに。
痴漢冤罪事件を通じて、日本の刑事裁判の実態を映像化している作品だ
(2008-03-15)
いろいろと評価の高い作品であるが、それに見合う作品であったと思う。役者陣も地味ではあるが、しっかりとした演技が出来る人が選ばれているように思えるし、その役割を果たしているように思う。
フリーターの金子徹平は、面接試験に向かうため、朝の通勤ラッシュで大混雑する通勤電車に乗った。徹平が目的の駅で降りると、女子中学生から身に覚えのない痴漢容疑を掛けられ、駅の事務室へ連れて行かれる。示談をすれば楽ではあろうが、一貫してやっていないものはやっていないということで、否認し続けることになる。警察の調書作成から、有罪になるようにストーリーを組み立てているように思う。それは違うといっても認められない。裁判所は与えられた証拠から有罪か無罪かを決める場所であるけれども、無実の人を有罪にしてはいけないように思う。
痴漢冤罪事件を通じて、日本の刑事裁判の実態を映像化している作品だ。警察が初動捜査できちんと調べればわかるのだろうが、警察は被害者の意見だけを聞き入れて、痴漢をやっていないという人の意見は聞かない姿勢はよくないように思う。
あまりにやりきれなくて、、、
(2008-03-05)
周防監督というのは、名前を聴いたことがあるだけで、実際の映画は一つも見たことありません。会ったかもしれないけど、監督が誰かなんて意識していなかったかもしれない、、、。
テーマに惹かれ、映画館で見ました。法学部で多少法律をかじった者としては、弁護士・役所広司の「疑わしき派罰せず」という言葉を頼もしく感じ、そしてそれは裁判官・検察官・警察官には通用しないという現実(取材の結果だと思いますが)を腹立たしく、憤りさえ感じました。
司法研修生たちへの問いかけで「裁判官に最も大切なことは」に対し、研修生達はもっともらしい答えを必死にひねり出します。
裁判官の答えは「無実の人を罰してはならない」
胸がすっとしました。
でも、このような裁判官は冷遇されてしまう。これが本当に日本の現実なのか。どの程度まで現実にあることなのかは分からないけど、切なくなりました。
途中で交代した裁判官役の小日向さん。大好きな俳優だったのですが、この裁判官で、実はこういう人間なのかと大嫌いになりました。と錯覚してしまうほどの迫真の演技。
現実に、こういうとぼけた(としか言いようのない判決を出す)裁判官もいるようです。
(「山形の中学生いじめ殺人事件の犯人の少年達に無罪判決を出した」など。そういう事例を集めた書物もありました)
そんな話しを耳にするたびに、「これはどこまでフィクションなのだろう、、、」と感じてしまいます。