ナオミはゴリ専
(2008-08-24)
ファンタジー嫌いが災いして『ロード・オブ〜』3部作を未だに見てない自分にとっては、コングが出てくるまでの冒頭1時間はどうやり過ごせばいいのか分からんほど退屈だったけれども、それ差っぴいても映画館で観ておけばよかったという快作だった。
リメイクという時点で、あの誰もが知っている結末を変えることなんてできないし、何より原作の熱狂的なファンであるピーター・ジャクソン自身が許さない。だから彼は、現代のCG技術と原作への異常な愛情で以って、思いっきりスカル・アイランドでの冒険を膨らませてみせた。とにかく凄まじきイマジネーションと意志の力が縦横無尽に焼き付けられていて、観客はこの息つく間もない怒濤のスペクタクルに身を委ねればいい。
それにしてもコングの造形は凄い(表情以外。あれは愛くるしくないこれは動物好きにとっては嬉しい(逆に恐竜の動きはめちゃくちゃだったけど)。特に、コングが冬のNYの路面でつるつる滑る様なんか、よく見る動物おもしろ映像そのものでびっくりした。
で、「旅の仲間たち」に目を向けると、ナオミ・ワッツ。とにかく綺麗、ただ、ストックホルム症候群よろしく、コングに対して愛情抱き過ぎだから。そもそもアンのコングへの思いというのは、恐怖と畏怖と憐れみがない交ぜになったものだった。で、それが原作以来怪獣映画のセオリーになっている。
でも今作のアンは、もうただの恋する乙女だ。自分から進んでコングの彼女になりたがっているではないか!どういうことだ、彼女はゴリ専か? 「コングはオレだから」(by ピーター・ジャクソン)とでも言いたいのか!(笑)。
絶賛しかない壮大な映像美
(2008-06-14)
リメイクを超越した凄さ。
その隙の無い、躍動感溢れる映像に惚れ惚れ。
全てのシーンの緊張感と美しさは絶品。
朝日夕日に見惚れる強く逞しく優しいコング。
清楚でチャーミングで可愛く優しい勇敢なナオミ・ワッツ。
スクール・オブ・ロックのバイタリティ発揮のジャック・ブラック。
エイドリアン・ブロディの圧倒的存在感。
ただただ、見事。絶賛しか在りません。
映画を撮るという因業な仕事は髑髏島のような修羅の世界 O.ウェルズの魔力にとらわれて
(2008-01-26)
3時間長尺物ということで敬遠していましたが、昨年秋WOWOWでさらに長い版が放送され、完全やられました。これは面白い! 何と言っても髑髏島での恐竜・巨大昆虫何でもござれの顛末がもの凄くて『バッドテイスト』のP.ジャクソンが降臨したぞと色めき立ちました。アロワナの様に船員を食い散らかす巨大魚、次から次へと襲い来るムシたち、強烈な蛔虫に喰い殺されるシーンなんか子どもが見たら絶対に精神的外傷を負うと思います。
まあ確かに髑髏島に付くまでのあれこれがもったい付けすぎて長すぎですし、丹念に人物像を描いていて感情移入しやすいのですが、最後のNY編では「あれ、あの青年は?」「あの二枚目俳優、髑髏島では最後あんなに颯爽としていたのに何で…」と突っ込み所は計り知れません。P.ジャクソンは髑髏島のシーンさえ撮れたらもう後は興味がなかったのかも知れません。ただし「誠心誠意恋するコング」という設定は今までで一番で、対するアンも自分を愛してくれたコングに親愛の情を持ち、感動的に改変された跡は見えますが。
本作は「映画を撮る」ということの因業さをJ.ブラックに見事に託しています。きっと彼はO.ウェルズを色濃く投影させているキャラでしょう(作中余りに似せて撮られているので驚くばかりです)。ウェルズのように口八丁手八丁で資金をむしり取り、アンもドリスコルも騙して舟に乗せ…。友人のカメラマンも喰い殺され、本当に苦労して撮ったフィルムも水の泡。泣くカール・デナムは愛するカットをむざむざハリウッドのに握りつぶされ続けたP.ジャクソンの苦吟の過去。しかしそれでもコングを捕まえて「逆転するぞ」という山師の執念こそ、映画界の鬼子かつ魔王であったO.ウェルズの亡霊なのです。
長尺だけにまだまだ語りたいポイントは存在します。でもまあ、つまりはこの豪華フルコースのような映画を大画面テレビ完全版でご覧ください。満足は保証します。
3枚組でお買い得
(2008-01-03)
EE版はWowwowでも放映されたが、どこがエクステンドされたのかあまりよく解らなかった。メイキング版は将来、コレクションとしての価値があると思うが、不必要に長くて、見るだけでもシンドイ。探したけどBlu-ray Discは未だ無いような気がするので、現状では最高に美しい画面。繰り返し見ても島の光景、恐竜や昆虫の襲撃場面など、CGは出色。ジャングルという色彩と立体感ある環境にも助けられて、無理のない動きと遠近感を感じることが出来る。とにかく、未だ持っていない人には、超お買い得でお奨めです。でも、何となく薄っぺらに感じるのは何故?ニューヨークで暴れ回るところは絵に描いたマンガみたい・・・
ニュージーランドのニューヨーク
(2007-10-23)
本作は、オリジナルを愛するピージャクがRKO版に敬意を込めた力作である。オープニングからしてオリジナルのまんまだから、そのこだわりも凄い。ラストは当然、エンパイアステートビル。ニュージーランドにマンハッタンを作ってしまうのだから、ハンパない。フェイ・レイにも出てもらう予定だったらしいが、撮影前に亡くなり、それは叶わなかった。ナオミ・ワッツは挨拶に行ったらしいが。セシル・B・デミルがモデルといわれるデナム監督役のジャック・ブラックも怪しげな雰囲気満点だった。惜しむらくは、撮影のほとんどがニュージーランドで行われたことだ。ピージャクの本拠地だから仕方ないが、CGの固まりのような作品になってしまった。オリジナルもLAロケのため、大きなことはいえないが、手作り感が楽しかった。それでも島のセットは巨大で、しばらく壊すことが出来ず、結局RKOは「風とともに去りぬ」の大炎上シーンで、セルズニックに燃やしてもらった。スカーレットが逃げまどう背後で燃えていたのはキングコングのセットだったというのも面白い。1976年のラウレンティス版は駄作といわれるが、唯一買えるのはマンハッタンロケを敢行していることだろう。ラストシーンがWTCであったことから、オリジナルへの冒涜などともいわれたりしたが、911で崩れる前のWTCでロケされているのは、結構貴重である。これらの作品に比べると、CGゆえにスマートすぎるのだ。ともあれ、三時間を一気に魅せる迫力は圧倒的であり、おすすめの一作であるのは変わらない。