アルカトラズ・アイランド
(2008-09-30)
エスケープ from アルカトラズ、つまりアルカトラズからの脱出。
タイトルそのままに実話を参考に作られた脱獄映画です。
(本物のアル・カポネも史実でこのアルカトラズに送られました)
アルカトラズは1934年建設で1963年閉鎖。この話は閉鎖前年の62年の話です。
あちこちの刑務所から脱獄を繰り返した主人公がついに足がついて
脱獄成功者が未だいない無敵の刑務所島アルカトラズに送られます。
興味深いのは彼は始めから脱獄を考えていたと取れる描写が冒頭から伺えるところです。
結果的に脱獄は成功していると見られていますが、その過程がかなりリアルで、
筋道立てて少しづつ、本当に少しづつ進行していきます。
まず、脱獄が不可能とされているには8つの理由があります。
1.周辺は全て海で最も近い島まで1マイル(1.6km)は離れている
2.潮の流れが速く普通に泳いでいたら簡単に溺死する(これまでの脱獄最長距離記録者は溺死)
3.牢獄部屋では囚人7人に1人の割合、外では3人に1人の割合で看守役が存在
4.日中は一日12回の点呼と人数総確認
5.定期的に部屋と持ち物が調べられ少しでも怪しいと判断されたら部屋を移される
6.たとえ夜中に外に出てもサーチライトで屋上から24時間監視されている
7.金属類の置いてある部屋から移動する際は金属探知機と身体検査がある
8.面会は全て電話で行い面会人から一切の荷物は受け渡しできない。
また、囚人一人一人の会話はリアルタイムに盗聴されていて少しでも怪しい会話があればすぐに電話を打ち切られる
これらを打破するためにはまずは情報をつかむこと、そのために仲間を確保すること、
そして道具を確保することから始まります。
実行するために何が必要かを少しづつ青虫が這うかの様に進めながら探っていき、
そこで分かったことや発見などの情報を仲間内で共有していきます。
そしてあらゆる状況を打破するための駒が揃ったら一気に『その日』実行に移すのです。
これは間違いなく傑作だと思います。
映画で私たち犯罪を犯さない人間からすると犯罪者は憎むべき存在で決して応援していいものでは
無いのに脱獄する側の人間を必死になって応援する自分がいることに気づいてしまうのです。
ある意味では全ての人間は今のこの何か良く分からない現実世界に産み落とされ束縛されているので、
本能的に脱獄という行為に親近感を覚えてしまうからかもしれません。
日本語吹き替え版を望む
(2008-01-17)
昭和の頃テレビで毎年放映しており、毎回観ていました。
クリント・イーストウッドの声はもちろん山田康雄氏で、アルカトラズ所長の声は納屋悟朗氏・・つまりルパン三世と銭形警部のコンビだったのです。
「大脱走」が昔のテレビ吹き替えの音声を収録してファンを狂喜させたように、この作品でも山田&納屋コンビの吹き替えを収録したバージョンの発売を切に願います。
細部までが丁寧に描かれている。
(2006-12-03)
封切りは、30年近く前になるだろうか。
当時、まだ中学生だった私は、クリント・イーストウッドのファンである友達と連れ立って、映画館で観た。
中学生の女の子たちが観るには、ややheavyな内容ではあったが、今でも、観てよかった映画だったと思う。
舞台は、悪名高きアルカトラズ島の刑務所。
立地と厳重な警備体制ゆえに、そこからの脱走は不可能と言われている。
しかし、そこへ送り込まれた主人公は、綿密な脱走計画を立て、実行に移す。
驚くべきことに、実話に基づいているそうである。
少なくとも、脱走した服役者たちの水死体は上がっていないことから、脱走は成功したと見られている。
その後、刑務所は閉鎖されることになり、アルカトラズ島は、今では観光地になっている。
記憶に鮮烈に残っているのは、主人公が親しくなった囚人の一人で、その人は、絵を描くのが上手だった。
性格もおとなしく、とにかく絵を描いていられれば幸せ、という人。
その人は、絵を描くための画材を独房内に所持することを特別に許されていたが、ある日、冷酷な所長が、彼の独房内で一枚の絵を発見する。
それは、所長の肖像画。
意地悪そうな顔で、そっくりである。
それを見て憤怒に駆られた所長は、彼に絵を描くことを禁じる。
唯一の生きがいを取り上げられた彼は、やがて精神に異常をきたす。
そんな彼が、ある日とった行動は、とても衝撃的なものだった。
表現者が表現手段を奪われることの苦しみが、胸に迫った。
──そうした細部までが丁寧に描かれた、いい映画だったのだと改めて思う。