迫真?幻想?嗚呼昭和
(2008-03-14)
正義感強い青年将校と、貧農の娘の悲恋を描いた佳作。高倉健、吉永小百合という、銀幕の巨星の夢の共演は一見の価値あり、だ。
ただ、冒頭、主人公の宮城大尉(高倉健)の部下である新兵(永島敏行)が、身売りする姉(吉永小百合)に会いたさに兵営を脱走するが、よく考えてみると奇妙だ。
新兵は20歳だから、「4歳の時に母親と死に別れ、以来、姉が母親代わり」という境遇からすると、「身売りする姉」は、少なくとも22、23歳以上となってしまう。
この当時の農村の娘の身売りは、12、13歳から15、16歳がいいところだから、妹であればつじつまは合うのだが、配役の実年齢を考慮したため、こうなったのだろう。
(しかも吉永の美貌である。「村長の息子に見初められて、16歳で玉の輿」というのが無理のない設定というものだ)
宮城大尉も、どう見ても大佐クラスの貫禄で、「青年将校」はちと厳しい。二二六事件の掘り下げ方も皇道派に肩入れしすぎて一面的だし、どうやら事件は、昭和幻想の舞台、という小道具に選ばれたに過ぎないというのが正解なのだろう。
ただ、左遷された宮城が、朝鮮半島の北端、満州国境付近で匪賊討伐の任務についた際、軍上層部の横領疑惑を追及するシーンなどは見ごたえがある。愛する部下達が横流しされた日本軍の兵器によって斃れてゆく様の描写は、戦争の暗部を見事についており、上記のような多少の設定の無理を越えて、物語に信憑性を与えている。
男が男であり女が女であった時代
(2006-10-30)
吉永小百合さんはいい歳のとり方をしていると思う。
この映画の頃の吉永さんは確かに惚れ惚れするくらい美しい。しかしこの役、無学故に(手紙を書いてそれが結局)弟を死に追いやってしまう東北の貧困農家の娘、身売りされて娼婦に身を堕とす、という役どころなのにどう見ても武家かいいところのお嬢さんにしか見えない。
言葉の最初から標準語だし、どうやってみても農家の娘ではない。そして娼婦という役であっあても、それになりきってなく、その後軍人の妻となるのだが、そんな過去を引きずっているにしてはあまりにも品が良すぎる。結局制作者が吉永さんのイメージをおとせなかったのだろうか?とにかく彼女の役を美化しすぎている感があった。
しかし今の吉永さんは、こういった女の業や悲しさをモロさや強さを見事に表現する事ができる実力美貌共兼ね備えた大女優である。
今の吉永さんの方がずっと美しい。といった事でこの映画における吉永さんはミスキャストと感じる。今だったら完璧に演じる事ができるであろう。
映画に関していえば、高倉さんをはじめとした、一流の役者が演じた軍人たちの筋を通した背筋のピンとのびた身のこなしや物腰、御御心(天皇陛下)という言葉を聞くだけでぴんと伸ばした背筋が更に伸びるところなど、こういった礼儀正しさが全く違和感なく受け取られていた時代、こういった厳しさも今の世に必要なのではないか、そして今まで226事件に関して血にはやった青年将校たちの無謀な行為だとしか認識がなかったので、歴史をもっと見つめなおして見たいと思った。
いいですね〜
(2006-08-25)
高倉健は軍人役がよく似合います。二・二六事件は本当にあった事件ですが内容はフィクションです。ノンフィクションなら226でしょう。オールスターキャストながら226は残念ながらDVD未発売(T_T)