隠れた名作
(2007-05-11)
タイトルも地味だし、デ・パルマ監督の作品では唯一の戦争映画だし、
マイケル・J・フォックス主演だし…正直期待できる要素が無く、
ただファンだからという理由で観ました。するとこれが面白い!
何よりレイプされ殺されてしまうベトナム人の少女が
ものすごく迫力のある演技をしていて、
この少女の迫力は僕が観てきた戦争映画の中でもピカイチ。
レイプされてからの完全にブッ壊れた演技もいい。
そしていいのは彼女だけじゃない。マイケルさんも
青さと正義感に満ちた二等兵を好演。
ショーン・ペンは180度フレてしまっているキチガイ軍曹を怪演。
これはただの戦争映画というよりは、
いつものデ・パルマが戦争を舞台に展開されている感じ。
とにかくファンなら絶対に観ておくべきです。
カメラワークも面白いです。後半の長回しがよかった。
あと、主人公が「地獄に落ちろ、サー!!」というシーンがあるんですが
そこがめちゃくちゃカッコよかったです。やはりデ・パルマ最高。
戦場の人間の道徳性を問う渾身の一作
(2006-11-01)
ベトナム戦争における、ベトコンの攻撃に悩まされた米兵の、
泥沼の戦場における、道徳の崩壊、戦争の殺戮と、人間としての殺人
を問う、実話に基く秀作です。
ベトナム戦争映画はたくさんありますが、異色の内容となって
います。また、演出が、抑えてはいますけど、デ・パルマ独特の
演出、画面構成によって、個性的な反戦映画となっています。
ただ、戦争と、人種偏見、強姦、それに、軍部の恥部を告発する、
という悲惨な内容なので、希望の光を求めたせいか、冒頭とラスト
が、そういった事件を克服して明日へつなぐというあざとい演出
になっていて、かえって、作為的すぎた感じも受けます。
とはいえ、凡庸な映画をはるかに凌駕するスリル、サスペンス、
現実感のあるベトナム戦争を舞台にした良質な人間ドラマになって
います。ベトナム村の娘役の女性が、ショーン・ペンの高貴と狂気
が混在した演技とならんで、名演なのが印象的です。
ショーン・ペンが素晴らしい役者だと初めて思った
(2006-10-29)
私にとっては金字塔的作品です。
89年、梅田ピカデリー3のRoad Show公開で観たのですが、当時「プラトーン」から始まったベトナム戦争物ブームの中で結構、無視されてしまった作品です。
というのも、火薬をドンパチと派手に使う訳でもない、至って内容が地味であることが興行的に失敗した理由ではないでしょうか。
でも私にとってデ・パルマ監督作品としてはBest1に挙げたい作品ですね。
一部の評論家にも酷評されていましたが、Based On A True Storyですから、可能な限り忠実に撮ったパルマ監督は流石だと思いますよ。
しかしショーン・ペン演じる狂気の軍曹役の存在は大きいですね。
見た目は非常に冷静で、的確な指示を出す、デキル指揮官なのですが、ベトナム人少女を誘拐した辺りから本領発揮。
獣の如く強姦に及び、最後は交戦の中で少女は殺されてしまう。正義感に溢れた新兵役のマイケル・J・フォックスが事の次第を上官に告げ、当然のことながら軍事裁判が開かれるといった内容の中で、ペンがマイケルとすれ違いざまに何かを耳打ちする。
恐らく「このままで済むと思うなよ」といった類の言葉を発しているんでしょうが、取り乱す事も無くあくまでもCoolなペンが非常に不気味です。
それとエンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしい。Lastで流れるEnding Themeでは涙が溢れてきますよ。
圧倒的!
(2006-06-06)
この作品、米国での評価はいたって低かったいう。ベトナム戦争時の恥部を、ここまでさらけ出した映画はちょっとほかに見あたらないから、それも当然と言える。監督のデ・パルマはベトナム戦争当時は、どちらかと言えば徴兵忌避派(その信条はベルリン映画祭受章作品「GREETINGS(日本劇場未公開・ビデオ題名:ロバート・デニーロのブルーマンハッタン)」で吐露されている)だったから、真面目に戦争と向き合っていた者からすれば、後からこんな映画で当時を揶揄されるのはかなわない、という反発のほうが大きかったのだろう。しかし、そうした事情を割り引いても、この映画を作った製作者たちの見識の高さと勇気には大いに賞賛の声を挙げたい。中盤、マイケル・J・フォックスの主人公が「人が簡単に死んでしまうからこそ、もっと慎重になるべきなんだ」と話す言葉に、この映画の重要なメッセージが込められている。ベトナム戦争映画としては、比較的埋没した存在に甘んじてきたが、他のデ・パルマ映画の秀作群(「アンタッチャブル」「カリートの道」「スネークアイズ」等)と比しても決して遜色のない、いやそれ以上の圧倒的な衝撃を見る者に与える傑作だ。洋の東西を問わず、自分の足元を見ようとしない人が多くなってきている今こそ、再評価をしたい映画だ。
観るのが辛いベスト10に入る映画
(2006-06-04)
「アンタッチャブル」で興行的に大ヒットを飛ばした後の ブライアン・デ・パルマ 監督による戦争映画。彼の作品は一部のファンからは高い評価はあるのもの興行的にヒットしたのは「アンタッチャブル」のみで多くの映画を作製しているものの監督としての陰は薄い。興行的に失敗する理由のはアメリカ人が嫌うようなテーマや表現方法を使っているかもしれない。観客に媚びない映画作りはハリウッド色に染まる監督が多い中、好ましく思う。本作はベトナム戦争の裏側を描いた作品であり、アメリカ兵の行動が吐き気がするほどに酷い。狂気沙汰の行為を行う隊長にショーン・ペン、その事実を勇気を持って告発するマイケルJフォックス。この2大俳優の若き日に姿を観るのも価値があるが、映画としての作りもしっかりしている。「アンタッチャブル」の成功があった後なのでデ・パルマも自分の表現したいことが100%できたと思う。しかしこの残酷な内容は繰り返し観るのは忍びない。「ディアハンター」のロシアンルーレットの場面も辛かったがそれ以上の辛さがある。作品としては優れている…興行的には失敗するデ・パルマのスタイルはこの映画にも如実に現れている。一度は必見の映画。