オールスター勢揃い。
(2008-10-08)
とにかく、オールスター勢揃いのサスペンス映画です。渡瀬恒彦、吉永小百合、高橋悦史、山本圭、丹波哲郎、三國連太郎、山崎努などが揃っております。『東京湾炎上』、『新幹線大爆破』、『君よ憤怒の河を渉れ』など70年代の大作があった時代です。
山本薩夫監督作品として
(2008-05-23)
この映画は山本薩夫監督としては中位の感じである。「戦争と人間」以降、少し力を抜いたような印象を持つ。観客の目を画面にひきつけるの流石だと思う。しかし、何かが物足らないのもまた事実。
封切りの時に映画館で観たが、満員で立って観た記憶がある。しかし、全体的には芳しい成績ではなかったという。当時の官房長官が試写で観て、内容がクーデターなので、これはけしからん映画と言ったそうである。そのせいかはわからないが、松竹はあまり宣伝しなかったと言われる。当時、山本監督はそのことに憤慨していたのを思い出す。シナリオ雑誌に出た脚本と映画の出来上がりが違うのは、いろいろな制約があったのかもしれない。単なる娯楽として観るなら、面白いと思う。しかし、社会派監督の作品としてもう少し何かを期待すると物足らない。そんな映画である。
もう少しで傑作の誕生だったのに
(2007-09-25)
現在はカルト的な人気のある作品だが、公開当時は山本薩夫監督にしては珍しく失敗作といわれ、興行的にもヒットしなかったと記憶している。
1978年の雑誌「シナリオ」に掲載されている脚本を読むと映画とは全く異なっている。山崎努の役は脚本段階では計画段階から登場し、渡瀬恒彦の相棒としてもっと重要な役だったし、三国連太郎は吉永小百合とは関係なく、最後はロボトミー手術はされないことになっている。吉永小百合の役は脚本でも映画でも不要だと思うが、脚本の方が純粋に政治サスペンスになっていたように思う。脚本のいい部分を殺して余計なエピソードや説明を入れすぎなんだと思う。作りようによっては新しいタイプの政治サスペンスの傑作が誕生した可能性もあったのに惜しい。
ただし映画の内閣情報室長・利倉を演じた高橋悦史は良かった。高橋悦史は山本監督の映画では、いつも印象的な役を演ずることが多い。吉永小百合の恋愛ざたや渥美清の特別出演(松竹の悪い癖)で緩んでしまった列車内の描写とは対照的に、政治家やフィクサーたちのドロドロぶりは面白かった。
何処かオウムに似て居る
(2007-02-26)
はっきり言って、話が滅茶苦茶である。だが、クーデター物が持つカッコ良さが無くはない。あまり難しく考えずに、一つの娯楽映画として見るには悪くはないかも知れない。一方で、今、この映画を思ひ出すと、オウム真理教の戯画の様にも見える事には苦笑せざるを得ない。
(西岡昌紀・内科医/2・26事件から71年目の日に)
小林久三の最高傑作の映画化!
(2006-10-02)
江戸川乱歩賞受賞作家で、松竹のプロデューサーでもあった小林久三の最高傑作の映画化作品、憂国の自衛隊員がクーデターをもくろむが、発覚、寝台列車にて上京中の自衛隊員のグループは・・というもの。主人公は、クーデター首謀者渡瀬恒彦の妻(吉永)のもと恋人でたまたま電車に乗り合わせ、その計画をしった(山本)であり、山本の活躍と政府の対策、渡瀬の三者からのストーリーが展開される。「新幹線大爆破」などと同様70年代の学生運動が引きずられている雰囲気で展開し、主人公山本も元学生運動家の設定である。当時は、このような設定が受けたのかもしれないが、現在の視点から見ると、渡瀬の論理や行動の方が山本の身勝手で自分だけが正義だという主張に比べれば遙かに立派(だし、ルックスも上)。その点、主人公に肩入れしにくいのが難点か。特撮はいまの水準から見るとあらも目立つが、実物大の寝台列車のセットを作成して撮影した列車のシーンは秀逸。ただ、他の論者も指摘しているが吉永の存在がとってつけたようであり、浮いている。いっそ、「男のドラマ」にしてしまっても良かったのでは。