ジョニー演じる退廃的な役が魅力的
(2007-04-09)
映画のストーリーそのものよりも、わたしにとっては、幸福な未来が約束されていたアバーライン(ジョニー・デップ)のアヘン窟(くつ)で現実逃避をしてる姿が退廃的で好きです。アヘン窟で、部下のゴットリーに平手うちされて起こされて、濡れた髪で煙草に火をつける仕草と「楽しんでいるだろう?」とゴットリーに言う表情とか、事件解決に協力してもらう元医師に、アヘンの常習者である事を見破られて時の自嘲的な表情とセリフも好き。
また部下のゴットリーも、不幸から立ち直れず、自分がいるこの世界を生きていない、アヘン窟にいりびたっているアバーラインに、同情と怒りをよせていて、けれど、心配もしているのでついついいやみを言ってしまうのです。アバーラインもその事はわかっているので、ムッとした顔もするし、皮肉も言うけど。怒れないんです。なんのかんの言いながら、ゴットリーは、最終的にはアバーラインに協力する頼もしい部下。ラストシーンのゴットリーのセリフと表情はせつないです。未公開シーンでは「いついかなる時でも我が親友のゴットリー。初めてきみに逢ったときの事は生涯忘れない」という、アバーラインの精一杯のイヤミなセリフに笑いました。
グロいシーンも多いので、わたしはそういうシーンは苦手なので、目をそらしていました。娼婦にしてはお嬢さんっぽいメアリ・ケリー。橋の下での会話とラブシーンは良いですね。
原作ではありませんが「切り裂きジャック百年の孤独」(著・島田荘司)には、イーストエンドの生活について書かれています。約20万の貧民が、上は家畜と暮らす職人から、ボロをまとい素足暮らす人々、そして、最下層の路上生活者達という、層をなす貧しさ。切り裂きジャックについての本を書いた人によると「イギリスでは、ホームズと吸血鬼と切り裂きジャックは3大スーパースター」だとか。
ただただ、ジョニー演じるアバーラインの色香と、暗い色調のセットが際立っている面に、心強く惹かれる映画です。
素材はいいんだけどな
(2006-03-10)
1888年、ロンドン。アバーライン警部は2年前に妻子を失い、今はアヘンでその苦しみを紛らわす日々を送っていた。娼婦の連続殺人事件を担当した彼は、少しずつ事件の真相に近づいていく。・・・
主人公を演じるジョニー・デップは、作品によって雰囲気まで見事に変えてみせる不思議な俳優さんだと思うのですが、今回は影のある美形の警部。自分自身アヘンに溺れつつも事件に挑むという役柄がピッタリでした。昔のロンドンの再現も見事で、事件当時はこんな感じだったんだろうな、と思います。
でも、あの有名な切り裂きジャックの話のはずなのに、全然ハラハラドキドキしない!グロテスクな映像も、ちょっと興醒めでした。(槌の場面だけ鳥肌立ったけれど)狙われている娼婦グループ達でさえ、自分たちの命が危ないという自覚ナシ。アヘンの幻想から未来を予知するという設定は面白いのに、その能力が全然活かされていないような気がする。それに娼婦の1人メアリと出会っても、主人公が活気を取り戻していく、というわけじゃないみたい。舞台背景も使っている俳優もいいのに、演出で外してしまってるようで、非常に「もったいない!」と思いました。