ヴェンダースの声
(2008-11-21)
ヴェンダースのDVDはコメンタリーを聞くのが楽しみです。
この作品は特にヴェンダースのストレートな感情が収録されています。
2003年当時のアメリカへの批判や、ドイツ人としての誇り、低予算での工夫や苦悩。
コメンタリーを聞きながら画を観るとそのストレートに驚きます。
フィクションとドキュメンタリーの真ん中
(2008-06-21)
いろんな要素が詰まった映画だと思います。宗教、倫理観、パラノイア(偏執病)。家族、人種、ホームレス。9・11テロ以降アメリカにある不安やブッシュ政権によって隠された政策。そういうものを浮き彫りにし、暗黙的なメッセージとして伝えている映画ではないでしょうか。しかし攻撃的な部分もメッセージに込められていて実際の背景を基に作られた映画ですが、ストーリーとして面白く観る人を飽きさせないフィクション映画です。正確に言うとフィクションとドキュメンタリーのちょうど真ん中に位置づけられるような映画ではないかと思います。
短期間でしかも小さなデジタルカメラで撮られた映画のようですが完成度は高く文句なしの五つ星です。ヴィムヴェンダース監督ならではのロードムービー的なところも見受けられます。
原色のないアメリカ
(2006-12-09)
孤独で寂しい人を温かく描くことに長けたヴィム・ヴェンダース。
戦争の犠牲者ともいえる寂しい伯父さん。
そこに転がり込んできた天真爛漫な姪。
本当に孤独で寂しいのは実は姪なのだが・・・。
いい大人なんだからしっかりしろ!
アメリカなのにアメリカを感じさせない映像の美しさと主人公の姪のミシェル・ウィリアムズが惹きつけます。
アメリカの抱えるものとは
(2006-12-03)
ヴェンダースが自ら述べているのであるが、9.11以後にアメリカにこのままではいけないと発したメーセージとしての映画。ヴェンダースが自らそのように発言しているのを見て、少し映画の面白みにかけるのではないかと思われたが、そうでもなかった。パレスチナから出てきた少女ラナと、その伯父で、現在はアメリカを脅かすようなテロリスト探しに躍起になる帰還兵の老年男性ポール。導入部はゆったりとしているが、ところどころに挟まれる殺伐としたアメリカの風景は現実的である。少女が住まっていた伝道所に食事をとりにきていた一人の貧しい青年の殺人事件から物語はテンポよく進みだす。この殺人事件をめぐり、ラナとポールのものごとの受け取り方がはっきりと違うのが対比されていく。人のものを見る目とは、基本的にはそれまでたどってきた経験に大きく基づくものであり、なかなかそれをのりこえることはできないことがうまく描かれる。最後にポールは自らテロリストを探してきたのが結局ぶちあたったのはアメリカそのものの貧困であることをつきつけられる。話的にはありがちかもしれぬが、しかし現実の中で多くがなかなか乗り越えられないものをしっかりと描き、そしてメッセージをもって伝えようとしているところに、少なくとも僕は共感をもってみることができた。最後の数十分が最もメッセージ性が高いとされているが、しかし僕にとっては9.11について二人が直接語る最後のシーンは正直蛇足な気がする。いろいろはさまれるメッセージにぴったりこないものもあるが、やはりカメラワークは巧みである。最後のシーンの「真実」と「結果」という道路標識を少女越しにとる映像も音楽とも絶妙にあい、粋である。
同時多発テロをBack-Groundにしてはいるが
(2006-11-18)
殆ど物語とは関係有りません。
物語の核となる部分は"The Deer Hunter"に近いかも。
但し、あの作品ほど格調は高くありません。
兄妹間での仲違いを、妹の死後、その娘が伯父さんへ手紙を届けることで全てを洗い流すという『愛情』をThemeとした物語です。
その兄貴がベトナム戦争における亜米利加軍の元曹長であり、戦争後遺症に未だ蝕まれ、同時多発テロをきっかけに「俺が亜米利加を守るんだ」という妄想に駆られた行動をとってしまう。
貧しいパキスタン人をTerroristと勘違いするというEpisodeが、観る人によっては「Comedy-Touchの作品かよ」と思わせてしまうかもしれませんが、Last10分でこの作品のThemeがわかるでしょう。
ヴィム・ヴェンダース作品って私には、全く興味の湧かないものばかりでしたが、この作品は画も綺麗ですし、まずまずって(★3.5個)ところでしょうか。