原作なんて関係ねぇ
(2008-06-02)
『マルコビッチの穴』の脚本家チャーリー・カウフマン(実在の人物でをニコラス・ケイジが演じている)が、『蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界』という本の脚本を依頼される。原作を読んでもまったくアイデアの浮かばないチャーリーは、自慰にふけりながらイライラをつのらせ、ハゲ&デブのコンプレックスに苛まれるといった救いようのないお話だ。奇想天外なストーリーを得意とするチャーリーは、なんとグチグチ悩みまくる自分自身を映画に登場させるという<仰天技>を(現実&映画の中で)思いつくのだが・・・・。
この作品にはチャーリーの双子の弟ドナルド(ニコラス・ケイジの一人二役)という架空の人物が登場するのだが、ムッツリ系のチャーリーと比べるときわめて開放的な陽性キャラ。おそらく、脚本家の願望が生み出した自己分身であり、その弟から「愛されるより、愛することが重要」であることを学んだチャーリーは、○○○した分身と融合することによりアイデンティティーを確立し救われることができたのだろう。
『蘭に魅せられた・・・』の原作者が本作品の脚本を見て驚いたことからわかるように、この映画はカウフマンのやりたい放題にほとんど原型をとどめていないほどアダプテーション(脚色)されている。蘭に魅せられた男ラロシュ(クリス・クーパー)や原作者スーザン(メリル・ストリープ)を登場させ、サスペンスタッチの結末に強引にまとめられてはいるものの、原作にシンクロ(融合)するような部分はいっさい発見できない。この映画を見ていると原作なんてなんでも良かったのではないかという気さえするほどだ。
脚本が書けないイライラで精神分裂症に陥り、苦し紛れに自己の分身を生み出すといったお話は、カウフマンと同じユダヤ系アメリカ人コーエン兄弟の『バートン・フィンク』と共通するものがある。プロットなどまるで無視したハチャメチャな展開こそカウフマンの真骨頂なのかもしれないが、どうもハリウッドNo1脚本家としての地位を不動のものにしているカウフマンの、ユダヤ的自虐の影に見え隠れする<不遜さ>を感じてしまう1本だ。
面白かったです〜
(2007-09-22)
薄毛なニコラス・ケイジの気弱なおっさん姿、
自信のないダメ男ぶりがとても可愛かった。
「マルコヴィッチの穴」撮影現場にそそられるし、
セリフがいちいち面白く、心をくすぐられました。
それから私、蘭が大好きなんですよ〜♪
お花がたくさん出てくるのも楽しかったです。
でも、○○が撃たれたり、ワニに喰われたり、
事件が起こったら、ちょっと心が冷めてしまった。
それこそ、脚本を面白くするためにわざわざ
ハリウッド的にしたみたいな唐突さがあった。
終盤の展開があまり好きになれなかったけど、
不思議テイストの面白いドラマだった。
意外な展開
(2006-10-01)
きっとこういうオチだろうな・・・と想像していたのと全く違いました。
私はきっとハリウッド的展開だと思っていたので、いい意味で裏切られたようにも思います。
時間をばらばらにして、組み立てていくと、途中でこんがらかってしまいますが、主人公の頭の中の時間の流れをたどった作品、よく構成されていました。
脚本家の苦労もさりながら、彼のスランプを自分のスランプと重ねてしまって、感情移入しながら見てました。
不幸な人に観てもらいたい映画
(2006-08-29)
多くの悩みを抱えるカウフマン。
困難な仕事の依頼を引き受けることで、更なる苦悩のどん底に陥ってしまう。
脚本化を依頼された原作が、心の寄生者による上辺を取り繕った作品だったのだ。
The grass is greener.
絶望の淵から一転、カウフマンは自分の生き方を悟るに至る。
観客に対する揶揄も含まれているものの、心を打つ名言が散りばめられている脚本、強烈な印象を残す映像に、作品の完成度の高さが伺え、事あることに繰り返し再生する自分がいる。
この作品が、悩める人たちにとっての、快楽ではなく、糧となると良いですね。
この映画から、あなたに何かくるはず。
(2006-01-23)
もし、私がこの作品を見てなかったら、この作品に出てくるすてきな台詞に出会わなかったことでしょう。私は、映画は脚本が一番重要だと思います。
この作品はとても地味で、逆にサクセスストーリのような満足感もまったくありません。
しかし、カフマンの作り出す彼の世界がすきな人は絶対カフマンのこころの苦悩があなた自身のこころの歩き出す支えになってくれることだと思います。
たとえ、この作品をみて、意味や面白みがまったくなかったとしても、あなたの価値観や考えたが変わっていくにつれて、この映画に対する見方や捉え方が変わって、どんどんあなたにいろんな味を与えてくれるすばらしい作品です。私は、この作品をみて、蘭の花を材料に使っているのですが、この花の生態系の仕組みや美しさも体感できることもでき私自身、この作品のおかげで素直に自然の美しさ、魅力を学ぶことができました。映画は見る人の価値観が大きく反映されると思います。私が面白いと感じても、同じように感じないかもしれません。しかし、価値観がことなってもこの作品からくる根本的な訴えたいものはきっと私とは違ったものがあなたにえられることを思いこの作品をこころからすすめます。