悲しさあふれる映画
(2008-07-23)
ユダヤ人迫害の状況下にある時代でのある一人のユダヤ人少女の放浪の物語。家族の離別に始まり友人との出会いと同居。そして愛する男性との出会いとまたしても悲しい別れ。主人公スージーの放浪を通して映画の舞台もロシア、イギリス、フランス、アメリカと移り変わっていく。そのような背景を通しスージーの孤独や不安、喜びや悲しみが伝わってきました。映画は壮大なオペラの旋律に彩られるがスージーが歌うのは語りかけるような静かな物悲しい囁き。その対比がいっそうスージーの境遇を際立たせています。『耳に残るは君の歌声』という邦題は別の意味で映画の内容をよく表していると思いました。原題は『THE MAN WHO CRIED』。誰が泣いているのかというインタビューにサリー・ポッター監督は「それは一人ではなく大勢いる」と答えています。その言葉通り登場人物の誰もが、そして実際その時代の過酷な状況に立たされていた人々が泣いてしまうほどの悲しい状況に置かれていたのだと深く感じました。
物静かで情熱的
(2008-06-01)
すかっり大人なクリスティーナ・リッチとロマンチックな役がめずらしいジョニー・デップの3度目の共演。戦争や迫害の時代背景ですが、押し付けがましい台詞がなく心に残る作品です。作中に流れる『暗い日曜日』の曲が切ないです。
奪われたもの
(2008-05-10)
歌で包むように自分を愛してくれた父との別れ、その後押し寄せる運命により、
生まれ育った村、名前、言葉を奪われる。
与えられた名前、言葉、家族(親)で生きることを強いられた少女にとって、
父と過ごした日々の記憶(写真)だけが自分の存在意義であり希望・・・
それを取り戻すための長い旅であり、結果的に背中を押してくれた友や恋人との別れ。
ちゃっちゃと進むラストシーンをもう少し長く描いてくれたら、もっと泣けたのに。
ジョニーがでていてもノー!
(2008-04-12)
クリスティーナリッチの演技がヘタすぎます。体もこんなので主役では期待はずれ。
ケイトブランシェットの演技がさえています。美しくゴージャスで演技派のケイトの横にいるクリスティーナはどんくさい素人そのもの。ジプシーのジョニーも馬に乗るシーンその他良いシーンはところどころあるが、だんぺんにしかすぎない。ロリータ趣味の人にはよろこばれそうなセックスシーンが2度はいるが、必要性は感じない。
全体的に仕上げの編集に疑問が残る作品で良作とは言い難い。
良い役者を使ったのに監督・プロデューサーの力量がイマイチの典型。
イギリスらしい格調高い作品
(2008-04-09)
映画は2000年12月8日リリース。監督サリー・ポッターが一貫して詩的な雰囲気の映像を創り出している。また音楽がとても重要な役割を果たしていて、邦題のもとにもなっているビゼー作曲のオペラ『真珠採り(Les pêcheurs de perles )』第1幕で歌われる有名なアリア"Je crois entendre encore" の他にも、ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』、プッチーニ『トスカ』とふんだんにオペラが使われている。一方でジプシー・バンド『タラフ・ドゥ・ハイドゥークス』を起用してジプシー音楽も楽しめる。
根本的には幼い頃父に聴かされた曲に根ざした、父親探しの旅の話だが、戦争に翻弄される登場人物たちの思惑が交錯するさまが彩りを添えている。主演のクリスティーナ・リッチは僕にとってはどうしても『アダムス・ファミリー』のウエンズデイだが、彼女独特の暗さがこの映画にあっているようだ。ジョニー・デップの演技はあまり目立たない。同じ年にリリースされた『ショコラ』の方が冴えている。
イギリスらしい格調高い作品だ。