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白痴 お気に入りに追加
ドストエフスキー
出版社・発売元:

松竹

媒体: DVD
ランキング: 57047
発売日: 2005-08-27
カスタマーレビュー

起承転結ではなく起承転転な作品、それが問題だ。、、、  (2008-04-10)
女優、原節子が30代という年齢の始めに新たな役柄に挑戦をした意欲作、ただ残念な事に当時、この作品は不評に終わり、彼女が唯一、出演をした黒澤作品となりました、原因は脚本は素晴らしいものながら、起承転結ではなく、起承転転で終わっており、つまりは盛り上げるだけ盛り上げておいて、ラストが存在しないという事にある、それでもそれまでの日本の聖女というイメージから脱却して、悪名高い毒婦を熱演した彼女の演技力は素晴らしく、若い頃の俳優、三船敏郎の実に甘く丹精な顔立ち、そしてその演技力は驚嘆に値する、ラストにもっと時間を割き、重みと真実味を与えられれば完璧な作品となっただろう、名作に成り得ただけに実に残念といえる。

日本という文脈の中でのドストエフスキーの問題  (2008-04-06)
公開段階でだいぶカットされた作品だそうです。もともとは4時間の作品だったそうです。その部分がおそらく説明の字幕のシーンでカヴァーされているのでしょう。原作はドストエフスキーの作品の中でももっとも不思議で理解がしにくい作品です。その作品の日本での映画化ということで、見る前は心配していましたが、筋は、無理なく日本の戦争直後の文脈の中で、わかりやすく再構築されています。やはり北海道というロケシーンの選択が適確だったわけです。雪と風と氷に代表される冬の背景が全体の雰囲気を規定するのに成功しているわけです。この作品を南国の太陽の下で再構成するのは無理なわけですから。配役も原節子、そして日本にはいないであろうパーソナリティを演じた三船敏郎どちらも熱演です。ただいくつか原作との大きな違い(死刑の話)や原作からの削除(死と運命についての論争の部分)が存在します。それはある部分は、不可避的な選択なわけですが、結果としては「問題のある結末」にたどり着いてしまう伏線をなしているようです。結末のつけ方と久我美子の結語の部分は原作とは異なります。この映画が前提とした日本の風土という拘束の中では、演出上もこういう形を取るしかなかったわけです。しかし、この部分の修正は、ドストエフスキーの原作でで提示された論点への、黒澤監督の回答だったというわけです。

夜中に一人で見ましょう  (2007-12-28)
“羅生門”と“生きる”という二大傑作に挟まれているこの作品、もし完全版として残っていたらこれらと並ぶ傑作たりえたかどうかは永遠の謎ですが、それでもドストエフスキーの小説を扱った映画としては本当に最高なのではないかと思います。 同時に彼の作品は映像化するのがほとんど不可能だということまで露呈せしめた勇気ある失敗作だと思います。

役者たちが大変な熱演。 しかし、もともとドストエフスキーの描くキャラ達は猛烈な行動をとることが多いのですが、黒澤流のパワフルな演出で、生身の役者さんを使ってその狂熱振りを再現するとやはり奇妙なことになるのではないでしょうか。 配役的にはほぼ完璧でも、時折やや力みすぎで苦笑を禁じえないところがあります。 ムイシュキン役を演じた森雅之は一世一代の名演ですが、これも文章ならともかく生身の人間がやるのは本当に大変。 素晴らしい、と思うと同時に、本当にこんな男いるのかなあ?という疑問が頭から離れません(もっともそれがドストエフスキーの狙いなのかも知れませんが)。 でも、三船に襲われて癲癇の発作を起こす場面の芝居はホントにすごい迫力です。 それからなんと言っても、ナスターシャ(原節子)に自分が処刑されかかった体験を話す場面。 これは全黒澤作品中でも屈指の名場面だと思います。

この作品はなんといっても夜中に一人で見るのが一番でしょう。 間違っても黒澤ビギナーズやドストエフスキーを読んだことの無い人と一緒に見てはいけません。 以前友人のアメリカ人に見せたところ、三船の力演をコメディと受け取ったのか、爆笑していました。 悔しいけど、そうなっても仕方が無い部分があるのも事実です。

心清らかに生きるということ  (2007-08-18)
原作も読んでない無教養ではありますが、凄いという一言。
生きる上で清らかな心とは何か?
もちろん、清らかさは「濁り」があるから表現されうるのかもしれませんが、本来人間が生まれながらにして持っている「善」は心を育む宇宙なのかもしれません。
主人公の心清らかな青年、そして心閉じた世界から清らかさを取り戻す原節子演じる女。
原節子の時に鬼の形相での女、そして時に天使のような赤子の形相の女、見ていて鳥肌が立った。

最後に久我美子が泣きながら言う「私が白痴なんだ」と。

心の清らかさは偏差値でも貨幣量でもない。人間として、生物として最低限の「善」なのであろう。そしてその善を無くさないように日々考える事が「生」なのだろう。

50年以上前の作品が色褪せる事なく、逆に今の社会への警告にも思えてならない。

巨匠の力技  (2007-03-24)
キャスティングにやや難があるうえに、強引に短縮されてしまった作品。だが個人的に黒澤作品、というより今迄見てきた全映画のなかでこの作品が一番好きだ。思想的に人間主義的な甘さが皆無だし、芸術的にも黒沢とドストエフスキイは相性がいいと思う。どちらの作風も「演劇的」だからだ。黒澤は後年叙事詩的作品も作っているが、やや大味だった。人間と人間との愛憎の絡んだダイナミックなやり取りの描写が最も得意な監督だと思う。俳優の演技からして演劇的だ。また、ひどく混乱した「白痴」のプロットは意外に圧縮しやすいのではないか。かえってドストエフスキイが言いたいことがよく分かったような気がする。とくにラストシーンが良い。

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