どうせなら牧瀬里穂と小林幸子ですっきりいきたかった!
(2006-09-07)
渥美清の体力の衰えが目立ってきた作品です。声に張りが無くなり、演じていること自体も少々辛そうでした。いっそのこと、かたせ梨乃の絡みは全部省いて、小林幸子の売れない歌手との出会いだけにした方が良かったかもしれません。一方、満男の恋人として登場した牧瀬里穂はとても生き生きとしており、もしこのシリーズが続いていたら、泉と満男をめぐる三角関係の話が誕生したことと思います。江ノ電を見ると、いつもこの作品のことを思い出します。
旅人よ!
(2005-10-20)
第47作、次の第48作が最終作となる、
ターミナル駅の一つ手前の駅はどこもひっそりと目立たぬものだが、意を決して降車してみれば繁華街の外れらしい中途半端な賑わいに形容しがたい面白さを感じたりするものだ、本作にはそんな後ろ向きの評価は似合わない、シリーズの性格からはみ出しているほどの静かな映画であるが、実は「映画」とすればシリーズ屈指の名作なのではないかと思う、
渥美清の病状を知る製作者たちはこれが最後になるかもしれないという覚悟を持って本作に臨んだことは間違いないと再見して確信した、とにかく静かでとても美しい作品である、渥美清の語りの素晴らしさを最後に記録しようとした形跡も濃い、後藤久美子の端正さとは異なるおきゃんな牧瀬理穂が作品全体を明るくしており貴重である、コメディ・リリーフの山田雅人役がより明るいキャラクターの俳優であればもっとよかったとおもう、
かつてロードショーで見たときには満男の恋愛が成就しそうなエンディングから次作は満男の結婚式がメインとなるだろうと思ったことを覚えている、続くラスト・シーンで実は腰が抜けるほど驚愕したことも忘れがたい、
再会した小林幸子の車に乗った寅が向うのは雲仙普賢岳の荒涼とした山地、かつて「シェーン」のリメイクとして「遥かなる山の呼び声」を作った山田監督である、再びシェーンのラストシーン、シェーンが山中の墓場に消えてゆくことでガンマンの時代が終ることを暗示していた、同様に寅の将来に広がるのは荒涼とした世界であることを暗示して終ったのかと思ったのだった、これは評者の深読みが過ぎるかもしれず、山田監督はたんに雲仙普賢岳災害を忘れぬために挿入しただけなのかもしれない、
冒頭で寅が使いかけの鉛筆を売ってみせる名シーンがある、渥美の声の衰えが残念である、本作の数年前、NHK「花へんろ」のナレーションで聞けた声の艶が無くなっているのだ、帽子を取れば必ずタオルを頭に巻いて額の広がりを隠し、室外シーンではマフラーを外さない寅の姿はやはり少々痛々しい、