淡々
(2007-04-12)
すべて淡々と過ぎていく。
この映画はもぬけの殻だ。
両親は娘の妊娠にちょっと戸惑いを隠せないが、娘本人は簡単に道を選んでいく。
「出来事」というほどのものがない。
この映画の中には充実した空白というようなものが満ちている。
電車が蛇のように東京中をうねって行く。
その風景を観るだけでもこの映画を何度も観ると思う。
「tokyo sora」や「すきだ」に似ているけど、
こちらは拉致がないほどに晴れ晴れとしている。
ただならぬ「心地良さ」
(2007-03-17)
敬愛する侯孝賢の日本で撮った映画。
話の筋は珍しい話ではない。主人公はシングルマザーを決意し、両親はやきもきしながら何も言えない。主人公の男友人との関係も曖昧だ。なにもかもが薄ぼんやりとしているうちに映画は終わっていく。母親は育ての母親であるとか 赤ん坊の相手は台湾に住んでいる人であるとか そこそこの「事件」の背景はあるのだが それは「与件」として存在しているだけで 映画では一切 そこには触れられていない。侯孝賢は 極めて厳密に「事件性」を排している。
そんな中で映画が描き出すのは「鉄道」であり「夕暮れ」であり「飲み物」である。実際 この映画くらい鉄道が出てくる映画も珍しい。光線の具合も常に夕暮れのようだ。そうして 登場人物は常に何かを飲んでいる。そんな話だ。
それでも見ていると感じる「心地良さ」は ただ事ならぬ気配もある。実際 この映画を観ていると 何かほっとするものがある。限定されたセリフの中に漂っている 「人の善意」が そう感じさせるのだろうか。
不思議な映画だ。他の監督では まず撮れない映画だと思う。
素晴らしすぎる。
(2007-03-04)
ホウ監督のピュアなタッチで描く恋愛ものには定評があるが、ここに桃色の恋はない。
ふわふわとした、あの人との、微妙な距離。現代的な人との付き合い方。
東京を巡って淡々と展開される、日々のストーリー。
この作品は、東京という場所と、そこにあるストーリーを本当にうまく描いている。
電車の待ち時間。街並み。アパート。
日本人でない人が現代の東京を、リアルにここまで描き切った。
小津へのオマージュの作品。
珈琲の香り
(2007-02-10)
一言でいうと、「オーガニック」な作品。
何気ない日常を描いたようで、飾らない演出もいい。
沈黙と静寂を楽しむ作品であり、節々の喫茶店のシーンでは
まるで珈琲の香りが漂ってくるようだ。
一青窈、浅野忠信の「無」にも関わらず存在感のある演技にも注目したい。
何かを与えてくれる作品ではなく、何かを感じるための作品のように思う。
意外と良かった
(2007-01-02)
正直、あまり期待していませんでした。主演の一青窈は演技初心者なのでどうなんだろうなぁ〜と興味があり見た作品です。日常生活を切り取ったようなストーリーで、特別大きな出来事がある訳でもなく淡々と進んで行きます。また一青窈も自然な感じで演技していました。好き嫌いは別れると思いますが、気負わずにリラックスして見られる作品です。また東京在住なので、東京の町並みがとても身近に感じられて良かったです。