知られざる名画。西部劇史に残る傑作。
(2005-08-26)
製作時、日本では未公開だったような記憶があります。ある意味、それくらい地味な映画です。昔、私はたまたまNHKでこの映画を見て、惚れ込みました。なんということのないストーリー展開です。家を出て何年も放浪生活したあげく、家に帰るが、かみさんは簡単には受け入れてくれません。半分、使用人の様な扱いでようやくいることを許される。しばらくは平穏無事な日々が過ぎていきます。このあたり、西部劇であっても「男と女」「家庭」「日常生活」を描いており、当時の西部劇としてはとても斬新なものでした。後年、クリント。イーストウッドが監督・主演した「許されざる者」に繋がる系譜の映画でしょう。ある日、昔馴染みの男(ウオーレン・オーツ)が訪ねてきて、彼はまた家を「留守」にします。つまらない、じつにいつまらないことに巻き込まれ、今度こそ落ち着こうと思ったのに、無残な結果に終わってしまいます。ピーター・フォンダ監督・主演の傑作だと思います。当時は大して話題にものぼらなかった。しかし、いま見ても、いい映画は決して陳腐化しません。ライ・クーダーの音楽もよかった。悲しいけど、しみじみとハートフルな映画です。
キングレコードの目の付け所
(2005-05-05)
生きる意味,女と男,そして友情,実に様々な要素が,神話的に織り交ぜられ綴られた映像詩。キャスト,映像,編集,背景,演技,ストーリー全てが美しく芸術的。そう書くと小難しいアートフィルムを思い浮かべるかもしれないが,決してそうではない。だが正義と悪の撃ち合いに終始する西部劇とは一線を画する。
本作は女の生き様もテーマの一つ。悲しくも美しいラストシーンで「彼なら」と納得してしまう自分がいた。背景もプロットも全く無関係だが,久々に「パリ、テキサス」を観た時と同じような心の充足感を得た(ブルース・ラングホーンとライ・クーダーの物憂げな音楽のせいもある)。これでいい,これでよかったんだと頷きながらエンドクレジットを眺める。
ディスク2には日本放映版バージョンが収録される。観て愕然。全くの別物と言っていい。これはこれで面白いのだが,ファイナルカットの権利がいかに大切かを思い知らされた。世に溢れる,たいして変わらないテレビ版とは訳が違う。ウォーレン・オーツがヒロイックに描かれた印象もあり,必見。
サントラCDや美しいデジパック,チラシや復刻パンフ等,価値ある特典がギュッと詰まる。子供騙しのような再販商法が目立つ中,よくぞここまで!とメーカーさんを称えたい逸品。